なぜ、すき家は“ディストピア容器”を提供するのか 「並盛430円」のスゴさが見えてきた:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
すき家が一部店舗で導入している容器が「ディストピア」のようだと、たたいている人がいる。だが1000円以下で食べられる牛丼チェーンに対して皮肉を言うことは、全てわれわれに特大ブーメランになって返ってきているのだ。どういうことかというと……。
「温かみがない」「餌を出されているよう」「これってエコじゃないのでは?」――そんな感じで、すき家の“ディストピア容器”がディスられている。
ご存じない方のために説明をすると、ディストピア容器とは、すき家の一部店舗でちょっと前から食事の提供時に使用されているプラ容器や発泡スチロール容器、紙皿などの「使い捨て容器」のことだ。従業員の作業負担軽減のためとのことだが、これに一部の客が文句を言って、SNSで「ディストピア」(反理想郷、ユートピアの逆)などと揶揄(やゆ)されたことから、ディストピア容器という言葉が生まれたのである。
個人的には言い得て妙だなと感心する一方で、こういう「安さ」を売りにしている外食企業の取り組みにいちいちディストピアとかなんだとかケチを付ける風潮こそが、日本を「安くて貧しいディストピア」にした元凶のような気もしている。
ここまで日本が貧しくなってしまったのは、人口減少で日本のGDPの約7割を占める「内需」が盛り上がらないからだ。これは消費税をゼロにしても解決しない。年収5000万円の富裕層からすればお得な話なので特定の市場は潤うが、年収300万程度の低所得者層はもともと消費が少ないので「コロナ禍のバラマキ」と同じでほとんど意味はない。おかずが一品増えるか、預貯金が増えるだけだ。
では、どうすれば解決するのかというと、「稼ぎ」を増やしていくしかない。つまり、賃上げである。2022年時点でOECDの主要先進国中、日本の賃金は最も低く、ドイツやカナダの7割弱、米国の約半分という水準だ。OECDの平均値を下回るだけでなく、イタリアや韓国の水準も下回る。
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