なぜ、すき家は“ディストピア容器”を提供するのか 「並盛430円」のスゴさが見えてきた:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
すき家が一部店舗で導入している容器が「ディストピア」のようだと、たたいている人がいる。だが1000円以下で食べられる牛丼チェーンに対して皮肉を言うことは、全てわれわれに特大ブーメランになって返ってきているのだ。どういうことかというと……。
低賃金と日本特有の風潮の関係
なぜこんなに日本だけ賃金が低いのかというと、実は日本人の7割が働き、日本のGDPの7割を占めている「サービス業」に対して、異常なほど「安さ」の圧力が強いからだ。ここに筆者は「ディストピア容器」をディスる日本特有の風潮も関係していると思っている。
単刀直入に言わせていただくと、「安い店で大したカネも払わないくせに高品質・高サービスは過剰に求める」というモンスター客が異様に多いのだ。そのため「安くて高品質」を実現するためどうしても、現場の労働者が「低賃金で重労働」を強いられてしまうのである。
そう聞くと、「消費者が品質やサービスを求めるのは当たり前だ」というお叱りが飛んできそうだが、筆者は「それがいかん」と言っているわけではない。そこまで品質やサービスを求めるのなら、客側もそれなりの対価を払わなくてはいけない。そこで「安さ」まで求めるのは、店側に労働者を犠牲にした消耗戦を強いることになる。それが全国津々浦々で日本経済を冷え込ませている、と申し上げたいのだ。
主要先進国は日本と違って着々と賃上げができているのは、消費税をゼロにしたわけでも積極財政をしたわけでもない。社会全体が「値上げは仕方がないこと」で、「じゃあ賃上げもしょうがない」という好循環が生まれているからだ。
東京大学 渡辺努教授の研究室で、米国や英国などにおける先進国の消費者と日本の消費者に対して「スーパーでいつも買う商品が値上がりしているのを見たときどうするか」とアンケートを行ったところ、米国や英国などの消費者は値上がりをしていても、やむなしと受け止め、高くなった商品を買うという答えが多かった。
しかし、日本の消費者は多くが、その店で買うのをやめて、元の価格で売っている別な店を探すと回答した。世界トップレベルで「安さ」に執着しているのだ。だから当然、「安さ」を売りにしている日本の外食チェーンは、世界トップレベルのコストカットを強いられる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
なぜマックで“客への反撃”が増えているのか いまだ続ける「スマイル0円」との関係
マクドナルドの店員が客にブチギレしている様子の一部始終がSNSで拡散され、話題となっている。1月には迷惑客への対応で英雄視されたマッククルーもいたが、なぜこのような事態になっているのだろうか。
バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のか
バーガーキングがまたやらからしている。広告を使って、マクドナルドをイジっているのだ。過去をさかのぼると、バーガーキングは絶対王者マックを何度もイジっているわけだが、なぜこのような行動をとるのか。海外に目を向けても同じようなことをしていて……。
なぜ「うなぎビジネス」が盛況なのか “うなぎのぼり”が続きそうな3つの理由と大きな不安
「うなぎビジネス」の評価が“うなぎ上り”だ。これまでの高級食パン専門店ブームなどとは異なる道をたどりそうな予感がするが、なぜそう思うかというと……。


