単なる「値上げ」は客離れを起こす! 「コメ離れ」なのに収まらないコメ高騰にどう立ち向かうべきか(1/4 ページ)
いつまでたっても収まらないコメ高騰。各社がさまざまな策を打ち出している。
著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。
政府の備蓄米放出で、流通各社がわれ先にと随意契約を申し出て、短期間で店頭に低価格のコメを並べて販売するニュースが毎日のように流れました。一方で「最近、日本人はそんなにコメを食べていたんだっけ」という疑問も湧き出てきました。低価格のコメを売り場に投入することは、世相上(もしくは選挙対策上)必要な対応ではありましたが、徐々にコメが安く買えるようになれば、今後はコメ以外の物価高への対応策に視点が移るのではないかと思います。
このような中で、コンビニ各社は新しい割引施策やサービス投入を始めています。各社の動き、中でもコメを使ったおにぎりや弁当、食品の新たな販売施策について、流通小売り・サービス業のコンサルティング約30年以上続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸がマーケティングの視点から分析していきます。
そもそもコメ離れが進んでいた
前段として、農林水産省の「長期的な主食用米の価格の動向」を見てみましょう。2023年のコメの相対取引価格は、食用玄米60キロ当たりで1万5315円。これが、2025年4月には2万7102円と2倍近くになっています。消費者物価指数(2020年基準、全国)も、この4月に東京都区部ではパンが125.6、めん類が121.3に対してコメ類は202.8とおよそ2倍に跳ね上がっています。確かにコメ価格は高くなりすぎている状況でした。
では、日本人のコメ需要や消費実態はどのような推移をたどっているのでしょうか。
農林水産省の「米の消費および生産の近年の動向」(2024年8月)によると、主食用米の需要量は長期的に減少傾向にあります。要は、日本人のコメ離れが進んでいるのです。今後の人口減少も加味した2040年の主食用コメ需要量は493万トンまで減少するという見通しもあります。
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