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単なる「値上げ」は客離れを起こす! 「コメ離れ」なのに収まらないコメ高騰にどう立ち向かうべきか(2/4 ページ)

いつまでたっても収まらないコメ高騰。各社がさまざまな策を打ち出している。

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高齢層で「コメ離れ」が進んでいる

 コメ・コメ加工品の1人当たり・1日の摂取量を見ると、若年層よりも高齢層、特に60代の摂取量が減少していることが分かります。60代は2001年からの18年間で、105.6グラム減少(27.3%減)でした。高齢者は年齢を重ねても白米を食べている印象を持つ人も多いでしょうが、実態は大きく異なります。

 年齢別の弁当・おにぎり・寿司などコメを使った総菜への年間支出金額では、29歳以下の若年層で減少し始めていますが、その他の年代では増加傾向にあります。特に60代の支出増加が目立っています。ただし、パンや調理パンなどの支出も全年齢で増加傾向にあり、こちらも60代の支出増加が目立っています。しかも、弁当類への年間消費支出が2万6251円に対してパンには3万1170円と大きく上回っています。年齢を重ねるごとにコメからパンへと移行しているという実態は明らかです。


高齢層の「コメ離れ」が顕著だ(出所:農林水産省「米の消費および生産の近年の動向について」)

同前

 60代・2人以上世帯の主食への年間消費支出金額を見ると、コメとパンへの支出金額の違いがさらにはっきりと分かります。2000年時点ではコメは全体の37%と、間違いなく「主食」に位置付けられていました。寿司や弁当、おにぎりなどを含めるとコメ関係で57%と過半数です。

 それが2023年になると、コメは14%まで減少、寿司や弁当を合わせても41%と過半数割れです。一方の食パンと調理パンやその他のパンは2000年に20%、即席めん・中華麺・パスタが6%だったのが、2023年にはパン類が27%、即席めん類が9%に上昇しています。今の60歳代はコメを買わなくなり、中食、外食、パン食の比率が高まっているわけです。


同前

 ここまで見てきたように、日本人のコメ需要、コメ消費は高齢者を中心に減少しているのが明らかです。一方でコンビニやスーパーの総菜や弁当などの中食、ファストフードやレストランなどの外食需要は高まっています。つまり、コメそのものをどうやって安く買えるかということは、育ち盛りの子どもを持つ家庭では喫緊の問題ですが、その他の多くの家庭においては、実はそこまで深刻ではない可能性があります。

 それよりも、おにぎりや弁当、総菜、外食の価格上昇を気にしているのではないか――と筆者は推察しています。日常的に購入する頻度の高いこれらを、流通小売り各社がどのような企業努力によって、消費者にとって買いやすい環境に変えているのか。消費者の関心はそこにあるといっても良いのです。

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