なぜ備蓄米は「一瞬」で店頭に並んだのか 各社がスピード販売できた背景:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
続々と投入が進む備蓄米。あらためて各社の取り組みと今後について解説する。
イトーヨーカ堂は5月27日に5000トンを申請。同社は精米工場を持っていなかったものの「取引先の協力もあり31日に販売できた」(広報)という。実際に販売されている米袋には、販売者が木徳神糧と表示されている。メイン工場を埼玉県桶川市を持ち、全国に4つの精米工場がある、大手米卸の木徳神糧の流通ルートを活用しているようだ。イトーヨーカドー大森店では、500袋を5キロ2160円で販売した。開店する午前10時より1時間早い9時に整理券を配布し、即日完売した。その後も店舗とECで入荷次第、順次備蓄米を販売している。
イオンは、イオングローバルSCMという物流専門のグループ会社を有している。全国の店舗を自社配送でカバーしているので、迅速なサプライチェーンマネジメントが可能だ。このようなインフラの充実により、6月1日から備蓄米を販売できた。「スピード感を持ってお客さまに届けられるよう、日頃からつきあいのある精米工場に依頼し、スケジュールを組んだ」(広報)ことも大きいだろう。同社が申請したのは5月27日で、2万トンの契約だ。申請は決して早い方ではなかったが、物流の巧みなコントロールで巻き返した。
6月1日、6200袋をイオンスタイル品川シーサイド店に入荷。さすがにこれだけの量は1日でさばけず、翌日にかけて完売した。地域住民の誰もが買えるように、十分過ぎるほどの量を一度に供給する姿勢に、イオンらしい流通哲学を垣間見た。価格は5キロで2138円。現在は「まいばすけっと」など、イオンの名を冠さない系列会社も含めて、全国1万店での備蓄米販売を目指している。ミニストップでもECで販売している。
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