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「牛丼」「うどん」に続け 吉野家、二度目の「ラーメンチャレンジ」は成功するか(3/3 ページ)
吉野家HDがラーメン事業を強化している。実は同社がラーメンに取り組むのは今回が初めてではない。二度目の挑戦は、果たして成功するのか。
「すき家」「松屋」の後塵を拝している
吉野家HDは祖業である牛丼事業への依存体質を課題としている。国内市場は人口減少が続く上に、直近では牛肉やコメ価格の高騰も課題だ。牛丼業界で最も歴史は長いながら、約2000店舗を展開するすき家に追い抜かれおり、海外でも成長が鈍化している。第2の事業ドメインとしてはなまるうどんを展開しているが、こちらも丸亀製麺に差をつけられた。
すき家のゼンショーHDは回転寿司やファミレス業態を展開するなど、多角化に成功した。テークアウト寿司店のM&Aで拡大する海外事業は既に1万店舗超を展開している。松屋フーズHDも松屋に加え、かつ丼やカレー業態を組み合わせた複合店で多角化を進めてきた。
このような状況で吉野家HDはラーメン事業を第3の事業ドメインとし、拡大させる方針だ。2029年度に売上高400億円、店舗数500を目標としている。ラーメン業界は牛丼や回転寿司など他の飲食業態と比較して大手のシェアが小さく、拡大の余地が大きい業態である。上位3社が圧倒的な牛丼業界と異なり、新規上場が相次ぐなど新陳代謝も活発だ。牛丼・うどんに続く収入源にできるのか、吉野家が展開するラーメン事業の今後に注目したい。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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