――問題社員を採用してしまわないために気をつけることはありますか?
いわゆる「意識高い系」や「完璧主義」「権利ばかり主張するタイプ」には注意が必要です。一見、前向きで成長意欲がありそうに見えても、実態が伴っていないことがあるからです。こうした人は言葉の表面だけでは判断できないので、行動の理由や背景、失敗体験への向き合い方などを深掘りします。
また、前職を辞めた理由を聞く際も、表面的な回答ではなく、「なぜその選択に至ったのか」「どのような行動をとったか」まで踏み込むことで、主体性や責任感を見極められます。
――逆に「面接でやってはいけない質問」はありますか?
テンプレート的な質問、例えば「学生時代に頑張ったことは?」など、表面をなぞるだけの質問には注意が必要です。これは、面接官が深掘りの準備をしていないと、意味のないやりとりで終わってしまいます。このテンプレート的な質問自体が悪いというわけではなく、しっかりと目的や意図があった上で、この質問を行うなら問題はないです。
また面接では、質問内容と評価基準をセットで設計することが重要です。「この質問にこう答えた人はA評価」といった基準がないと、候補者ごとの評価がブレてしまう。評価基準は、会社が求める人物像の変化に応じて毎年更新すべきものだと思います。
候補者の「素」を引き出す工夫とは?
――最後に、面接で候補者の「素」を引き出す工夫があれば教えてください。
面接終了のタイミングで「実は相談なんですが……」と前置きして、プライベートな悩みを打ち明けるような形で話を振るのもひとつの手です。例えば「うちの子が勉強をしてくれないんですが、どうしたらいいですか?」と聞くと、採用候補者のガードを下げた状態で、自然な回答が出やすくなります。こうした工夫によって、候補者の本質が見えてくることもあります。
西前好朗。公認心理師、離職防止コンサルタント。メンタルやコミュニケーションを軸に企業の持つ「人の悩み」(採用・心理的安全性・部下育成・離職防止など)を解決している。体験型の研修で楽しみながら理解を深められることが好評。YouTube
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企業と採用候補者の双方にとって「理想的な面接」とはどのようなものだろうか? 「あの会社サイテー」と思われるような面接はどうしたらなくせるか? ユニリーバ・ジャパン人事総務本部長の島田由香氏と、面接における候補者体験のアップデートを目指すシステム「HRアナリスト」を開発したシングラーの熊谷豪氏(代表取締役CEO)が対談。これからの面接のあるべき姿について意見を交わした。
