酷評の不人気万博が一転 「#大阪万博」が6倍に増えた理由(2/4 ページ)
前売り不調、ネガティブ情報の拡散――。一時は期待薄とされた大阪・関西万博だが、SNSを通じて評価が一変。現地の“生の声”が人々の来場意欲を高めている。
「#大阪関西万博」6倍に
大阪・関西万博は開幕前の期待値は低かった。会場内でのメタンガス爆発、海外パビリオンの建設遅れなども機運に水を差し、前売り券販売は低迷した。情報不足もありSNSでもこれらの否定的な情報が拡散された。
なぜ一転して評価が高まったのか。
万博関連の投稿の特色として、予約の取り方やパビリオンの効率的な巡り方など「攻略法」が多いことがある。予約システムなどの複雑さがSNSでは逆に攻略しがいのある対象となり、発信欲求を満たすことにつながっている。
インスタグラムの万博関連のハッシュタグ(検索目印)投稿数を調査したアジア太平洋研究所(APIR)によると、「#大阪万博」は昨年11月30日時点で7.6万件だったが、開幕後の今年6月30日時点では21.2万件まで増大。「#大阪関西万博」は2.8万件から16.3万件、公式キャラクターの「#ミャクミャク」も3.3万件から11.2万件に増えた。
三菱総合研究所の今村治世・万博推進室長は「日々新しいことが発信されており、みながそれぞれの方法で楽しみ方を見つけている」と分析。実際の体験に基づく「生の情報」が拡散され、否定的な意見をはるかに上回り評価が覆った。
SNSにたけた若者からの注目の高まりも見逃せない。三菱総研の5月の調査では、万博に「行った・行きたい」と答えた割合は20〜29歳が最も高く41.8%だった。
APIRの野村亮輔副主任研究員は強調する。
「実際に会場に足を運んだ人が気になる内容を投稿したり、気に入った投稿を再投稿したりする行為を積み重ねている。SNSでのこうした行動をきっかけに社会の万博を見る潮目が変わった」
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