飲食店の倒産が過去最多ペースで発生している。帝国データバンクが調査した結果、2025年上半期に発生した飲食店の倒産数は458件で、前年同期(435件)を5.3%上回った。年上半期として過去最多を更新し、通年で初の900件台に達する可能性もある。
倒産が急増した業態は?
業態別では居酒屋を主体とする「酒場・ビヤホール」(105件)の倒産数が最も多かった。前年同期(112件)から6.3%減少したものの、2023年以降3年連続で100件を超える高水準で推移していた。
特に増加が目立つのは「日本料理店」(46件)だ。前年同期(30件)から53.3%の大幅増となり、上半期として初めて40件を超え過去最多となった。帝国データバンクは「団体客の減少や節約志向の高まり、経費削減による企業の接待需要の縮小などが逆風となったのでは」と分析する。
飲食店の倒産要因を見ると、コロナ禍で受けたダメージから回復途上にあるなかで、食材費や人件費など運営コストが増加し、収益確保のメドが立たず事業を諦めるケースが多かった。帝国データバンクは「食材・光熱費の高騰で収益確保が難しくなっているなか、人材確保・維持のために賃上げを余儀なくされる中小クラスの飲食店を中心に、倒産や廃業の増加は避けられない」とコメントした。
調査の集計期間は2000年1月1日〜2025年6月30日まで、集計対象は負債1000万円以上で、法的整理による倒産。
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