コラム
なぜ教員の仕事は「ブラック化」してしまうのか:教育ビジネス(2/3 ページ)
教員の仕事が「ブラック」と言われる背景には、業務の高度化や境界のあいまいさといった特有の性質がある。2025年の給特法改正を機に、教育現場の働き方を根本から見直す必要があるのではないか。
「無境界性」の例を挙げてみましょう。教員が休日に近所のスーパーで買い物をしているとしましょう。購入しているものが割引商品だらけだったり、何か特殊な商品を購入したりしていた場合、それを保護者が目撃すると、その印象がその先生への仕事の評価に影響することがあります。うわさを流されることもあるかもしれません。
そういうことが起こりうると意識されているため「常に見られていないか緊張する」と語っていた教員もいました。普通なら休日なので職業は関係ありませんが、教員の場合は、勤務時間だけが教員というわけにはいかないようです。
このような特殊な性質があるため、残業代に関する規定をつくることも簡単ではありません。埼玉県内の公立小学校教員が残業代の支払いを求めて県を訴えた訴訟では、2022年8月に東京高裁が請求を棄却しました。そこでは、保護者対応や児童からの相談に対応することなどは業務として認められませんでした。
これを業務とするか業務外とするかという判断は教員の仕事観によってさまざまであると考えられ、ひとつにまとまらないことでしょう。ということは、何を教員の仕事とするのかという境界を誰もが納得するように設定することは非常に難しいと考えられます。
それでも、教員を取り巻く業務過多の問題を解決するため、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)」が2025年に改正されました。
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