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なぜ教員の仕事は「ブラック化」してしまうのか教育ビジネス(3/3 ページ)

教員の仕事が「ブラック」と言われる背景には、業務の高度化や境界のあいまいさといった特有の性質がある。2025年の給特法改正を機に、教育現場の働き方を根本から見直す必要があるのではないか。

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教育ビジネス』(宮田純也/クロスメディア・パブリッシング)

 給特法とは、生徒の実習・学校行事・職員会議・非常災害のいわゆる「超勤4項目」を除き、原則的に時間外勤務手当や休日勤務を支給しないかわりに、給料の月額の4%に相当する額を「教職調整額」として支給する法律です。改正によって、2026年から教職調整額が1%ずつ上げられ、6年後には10%まで引き上げられることになりました。

 また、今日の教員の状況を考えるうえで重要なのが、社会の複雑化によって生じている社会課題です。例えば格差の問題や多文化共生の問題です。このような社会課題は学校現場にも投影されます。公立学校は裕福な家庭から貧しい家庭、異なる文化や民族にルーツを持つ子ども、デジタル格差、メンタルヘルス対策など、ますます多様化・高度化・複雑化する課題に対処する必要があります。

 このような状態を、学級担任の先生ひとりが担うことは困難でしょう。学校に通う子ども、そして働く教職員のために、適切な学校運営の可能性と学校教育のあり方を根本的に問い直すフェーズにあるのではないでしょうか。

著者プロフィール:宮田純也(みやた・なおや)

一般社団法人未来の先生フォーラム代表理事

横浜市立大学特任准教授/学校法人宇都宮海星学園理事

 早稲田大学大学院教育学研究科修了(教育学修士)。大手広告会社などを経て独立後、日本最大級の教育イベント「未来の先生フォーラム」と「株式会社未来の学校教育」の創設、約2億7000万円の奨学金の創設、通信制高校の設立に関わるなど、プロデューサーとして教育に関する企画や新規事業を実施。2023年には「未来の先生フォーラム」と「株式会社未来の学校教育」を朝日新聞グループに参画させ、子会社社長を務めた。現在はこれまでの実績をもとにさまざまな立場や役割で教育改革を推進している。

 編著に『SCHOOL SHIFT』『SCHOOL SHIFT2』(明治図書出版)、監修に『16歳からのライフ・シフト』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット著:東洋経済新報社)。


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