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売り上げ世界一も“一人負け”状態 なぜ「クール」だったナイキは失墜してしまったのか(2/5 ページ)

スポーツブランドとして世界トップといっても過言ではないナイキが苦境にある。何が起こっているのか。

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理由(1)業績を落としている

 ナイキがクールだった大きな理由は、何より業績を伸ばし続けていたからです。発売する商品が軒並み売れ、ナイキを履いていないとカッコ悪いという時代すらありました。結果的に業績も大きく伸び、スポーツブランドのトップブランドになりました。

 スポーツブランドのツートップである、ナイキとアディダスの業績を比較してみましょう。

 ナイキの2025年5月期の売り上げは、6兆8000億円(1ドル=147円換算)です。現在も売り上げがスポーツブランド各社の中でダントツで、2位のアディダス(2024年12月期=4兆498億円、1ユーロ=171円換算)に3兆円弱の差をつけています。その意味で、ナイキは今もトップスポーツブランドであることに間違いありません。

 しかし、売り上げの伸び率がナイキは前期比で9.8%減、金額にして7500億円ほどの減少です。営業利益はさらに大きく落とし、同42.0%減、4000億円超も減少しています。大幅減収減益というのがナイキの実態なのです。

 アディダスは2024年度に世界各地で売り上げを伸ばしており、卸売り、DtoC(Direct to Consumer)、小売店、ネット販売とあらゆるチャネルで2ケタ以上も伸びました。特にフットウェア部門が好調で、オリジナル、サッカー、トレーニング用各シューズが2ケタ成長しています。


アディカラー クラシックス スリーストライプスTシャツ(出所:アディダス公式Webサイト)

 アパレルでも、特徴的なスリーストライプやトレフォイルロゴの人気が高まっており、レトロ風のアイテムを発売して人気になるなど、フットウェアを中心にしながらも、ファッションブランドとしての地位も確立しています。アディダスはライフスタイル(いわゆるファッション分野)とパフォーマンス(アスリートやランナー向けのスポーツ分野)の両面をバランスよく強化したことで、大きく成長しているといえるでしょう。


各社IRデータを基に筆者作成。各社決算期が異なるため集計期間に違いあり

同前

 アシックスとミズノを加えると、4社の中でナイキだけが減収減益で、他の3ブランドはすべて増収増益です。しかも国内2ブランドは過去最高売り上げや過去最高益。スポーツブランド市場全体が厳しいというわけではなく、ナイキだけが業績を落としています。

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