コラム
イオンは二刀流、ヨーカドーは一時撤退も 群雄割拠のネットスーパー、各社の戦略(3/4 ページ)
近年、スーパー各社が参入を続けるネットスーパー。各社の戦略や市場の将来性を分析する。
「ダークストア」を開店したヨーカドー
イトーヨーカドーは2001年に葛西店で店舗出荷型のサービスを開始した。北海道、東北、関東、関西など、店舗付近で対応し、店舗数の拡大に伴い、売り上げが伸びている。2015年には、ネットスーパー専用店舗として西日暮里店を出店した。同店は一見すると通常店舗に見えるが、一般客は中に入れない。出荷件数は1日2000件と既存店の5倍の能力だ。
このようなネット専用店舗のことを「ダークストア」と呼ぶ。出荷のために作られた店舗であり、配送用に特化できるため内装や外観に凝る必要がない。大規模倉庫を置けない人口密集地に出店できるメリットもある。ヨーカドーが西日暮里を選んだのは、周辺に実店舗がないためだ。ダークストアは倉庫出荷型と店舗出荷型の良いとこ取りをした店舗といえる。
だが、店舗出荷型は欠品や配送の手間など、運用面での欠点も多い。そのため、2023年から倉庫出荷型のサービスに切り替え、西日暮里店も閉店した。倉庫出荷型では横浜を拠点にして実店舗の負担軽減を狙い、千葉にも拠点を構えようとしたものの、2025年2月に終了している。収益化の見通しが立たなかったことが要因である。
2025年2月からはスタートアップ企業のONIGOと手を組み、ヨーカドー系列の約90店舗から配送するサービスを開始している。店舗型→倉庫型→店舗型と苦戦しており、一筋縄ではいかないようだ。
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