「出社の意義」とは? 業務を“3000項目に分解”して考えたNTT子会社のIT活用オフィス(1/2 ページ)
NTTファシリティーズ(東京都港区)は7月24日、4拠点を集約し、リニューアルした本社オフィスの本格稼働を開始した。「出社の意義」があるオフィスへ、どのように生まれ変わらせたのか。
NTTファシリティーズ(東京都港区)は7月24日、4拠点を集約し、リニューアルした本社オフィスの本格稼働を開始した。コロナ禍をきっかけとした働き方の変化を受けて、同社はオフィスリニューアルを決断。全業務プロセスを分解・検証することで、「出社の意義」があるオフィスへと生まれ変わらせた。
同社のオフィスは、グランパークタワー(東京都港区)の22階と26〜28階に入居している。ハイブリッドワークを推進していることから、全館でフリーアドレスを採用した。個人業務やハイブリッドミーティングなど少人数の業務向けの「執務エリア」には、各組織の個別、固有機能を集約した「コアゾーン」を配置。26階には、ワークラウンジやレセプションルームなど、大きな活動の場として利用する共創スペース「FL@T(フラット)」を新設した。
今回のリニューアルは、2020年11月から企画をスタートし、約5年かけて全面オープンに至った。オフィスで働きながらの“玉突き移転”を実現するため、細かい整備プロセス計画を策定。計7STEPに分けてフロアを整備した。玉突き移転に合わせ、グランパークとUN三田ビルをフリーアドレス席や個人ロッカーとして利用し、移転による現場の業務負担を最小化した。
意義のある出社とは? 全業務プロセスを分解
出社回帰する企業が増える中、多くの企業がオフィスに求めるのは「意義のある出社」を実現する場であることだ。同社は出社することの意義を、「同時性」「共感性」「偶発性」という3つに分類した。「同時性は対面だからこそのスムーズな会話や、五感で感じる空気感の醸成を指す。共感性は心理的な安全性の確保による相互理解の深化、偶発性がその共感した状態で生み出される想定外のアイデア・発想であると定義している」(同社 ファシリティソリューション本部 ソリューション推進部 ワークプレイスソリューション部門長 木村佐知子氏)
限りあるスペースの中で、出社という行為を意義があるものにするにはどうするべきか。同社は、全組織の業務を対象にオフィスにおける活動の洗い出しを実施。業務プロセスにおけるアクティビティー約3000項目のうち、オフィスで出社して行うべきアクティビティーを約950項目に絞り込んだ。
次に、約950項目のアクティビティーを、偶発性、共感性、同時性=集まることの効果と、活動の人数でマッピング。アクティビティーを4つのゾーンに分類し、新たな働き方に適した場所の検討を進めたという。
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