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生産性は測れるか? イトーキ×松尾研、オフィス投資の効果「見える化」に挑む

オフィス家具大手のイトーキとAI開発を手掛ける松尾研究所は7月29日、「生産性」に関する共同研究を開始したと発表した。ITや生成AIなどデジタル技術を活用することで、これまで難しいとされてきた生産性の評価モデル構築に挑む。

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 オフィス家具大手のイトーキとAI開発を手掛ける松尾研究所(東京都文京区)は7月29日、「生産性」に関する共同研究を開始したと発表した。イトーキの湊宏司社長は「オフィスは生産性を上げるためにある」とし、ITや生成AIなどデジタル技術を活用することで、これまで難しいとされてきた生産性の評価モデル構築に挑む。

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イトーキと松尾研究所、「生産性」に関する共同研究を開始(イトーキ公式Webサイトより引用)

なぜ「生産性」を計測したいのか

 出社が前提の働き方からコロナ禍でのリモートワークを経て、再び出社回帰の流れが強まっている。それに伴い、現在、オフィスづくりの現場では「行きたくなるオフィス」がトレンドだ。「コロナ前までは、企業はオフィスづくりをコストがかかるものだと考えていた。しかし、アフターコロナでは、オフィスは投資するものであり、特に人材不足の昨今は人的資本への投資という考えに変化している」(湊氏)

 こうした企業側の意識の変化が、ある課題を引き出した。オフィスづくりへの投資を、どう測定するかだ。湊氏は「オフィスづくりを投資と考えるならば、その投資対効果を測定しなければならない。オフィスは生産性を上げるために存在するのだから、当然その評価軸となるのが生産性だ」と説明する。

 しかし、生産性を評価軸にすることには、大きく2つの課題があった。1つは生産性の定義だ。日本生産性本部によれば、生産性はアウトプットをインプットで割ったもの。しかし、人によって捉え方は異なるため、共通した評価軸を作ることが難しかった。

 2つ目は、生産性を向上させるために必要な影響因子が多いことだ。「何が生産性を高めるのか」は、仕事内容や組織によって大きく異なり、その全体像を捉えることは難しい。「オフィスづくりを手掛ける当社にとって、評価指標となる生産性の解明は事業においての重要課題だ」(湊氏)

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発表会の様子(編集部撮影)

 そこでイトーキは、AI分野の第一人者である松尾豊氏が技術顧問を務める松尾研究所と協業し、共同研究を開始した。研究では、従来のオフィス稼働データや主観的なパフォーマンスサーベイデータに加え、オンライン上の行動履歴やウェアラブルデバイスによるライフログデータを活用。働く環境、働き方、働く人の生産性との関係性を多面的に分析し、「生産性の定義と向上に寄与する行動・環境モデルの構築」と「生産性の客観的な計測・検証手法の確立」を目的に研究を進めている。

 現在、イトーキでは2回の実証実験を実施。働く場所や睡眠時間と生産性の関係を確認した他、オフィス内での移動の活発化が生産性向上に寄与する可能性があることが分かったという。今後は大規模実証を経て、最終的には顧客向け評価分析サービスとしての展開を視野に入れている。湊氏は「日本の人口減少が避けられない中、事業を継続するためには海外進出が必須だ。今回の生産性の関する研究は、海外進出の大きな足掛かりなるのでは」と期待を寄せる。

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