生成AIの本当の価値は「業務削減」ではない 経営者が知るべき活用ポイントと注意点(1/3 ページ)
今や大企業でも当たり前に活用するようになった生成AI。経営者視点で、ポイントを解説する。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
突然ですが、次の2つの文章のうち、どちらが人間の書いた文章で、どちらが生成AIの文章か分かりますか。
【文章(1)】
今世界で最も注目されているソリューションと言えば生成AIなのではないでしょうか。
もはや毎日の業務の中で使わない日はないほどになっています。しかしその利用頻度やレベルの深さにはまだまだ差があるのも事実です。未だ使ったことがない方もいることでしょう。
具体的な数字で確認をしてみると、総務省情報通信白書によれば、2024年度の個人の生成AI利用経験率は26.7%でした。前年の9.1%から約3倍にはなっているものの、米国の68.8%、ドイツの59.2%、中国の81.2%と比較するとまだまだ日本は利用率が低いことがうかがえます。
企業における生成AIの活用方針として、積極的に活用する方針という企業は23.7%に留まり、こちらも他国と比較して低い状況です(米国:39.2%、ドイツ:39.2%、中国:48.5%)。世代では20代が44.7%と突出して高く、次いで40代が29.6%、30代が23.8%と続きます。各業務特性に合わせた生成AIツールや、どのような指示(プロンプト)を提示すれば求めるアウトプットが出てくるか、使いこなし方の研修サービスなども活況の様相です。
【文章(2)】
生成AIの導入が世界各国で進むなか、日本は依然として慎重な姿勢を保っている。米国では約60%、中国やドイツでも40%以上のビジネスパーソンが生成AIを活用する一方、日本は20%未満にとどまる。
企業の方針も対照的で、米中独が「積極活用」「推奨」へと舵を切るなか、日本企業は「限定的に許可」や「禁止」の割合が依然高い。世代別では各国ともZ世代の活用が最も活発だが、日本では若年層の利用も抑制的で、社会全体の慎重さが浮き彫りになっている。
人間が書いたのは、文章(1)です。具体的な数字などを調べる時間も含め、筆者が書くのに14分を要しました。生成AIで作成した文章(2)は、そのわずか1%に近い10秒しかかっていません。「日本の生成AI市場について、米国、ドイツ、中国とも比較し、利用率、企業の方針、世代別の利用に触れながら、記事の冒頭になるような文章を450文字以内で作成してください」という指示で、アウトプットしました。
筆者が文章を書くのに14分かかったと書きましたが、このような業務の時間計算では「実作業以外の時間」、つまりどういう文章にしようか迷い、考えている時間が含まれていないことも多くあります。日々の業務では実はこの迷っている時間≒手が止まっている時間が多く発生してはいないでしょうか。
だからこそ初動はまず生成AIで固めてしまってヒントを得るアプローチが、迷い時間の多い人にとっては大変有効な使い方となります。
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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。
