不正相次ぐ「日本郵政グループ」 社長交代でも全く喜べない深刻な理由(4/5 ページ)
不祥事が相次いでいる日本郵政。このたび社長交代に至ったが、果たして組織風土は変わるのか。
国営時代から続く「全特」にも問題あり?
日本郵政の組織風土改革が進まない理由として、官僚支配とは別に、この組織特有の問題があります。それは、個々の現場の責任者たる中小規模郵便局長の集まりである、全国郵便局長会(全特)の存在です。
全特は日本郵政の組織運営上、業務組織ではない私的団体であるものの、巨大組織の運営において強い影響力を持ち続け、組織の近代化を阻み続けている存在といえます。
全特は民営化以前の全国特定郵便局長会が名称を変えた後も使われている略称で、中小規模郵便局長の集まりという点も変わっていません。そもそも特定郵便局は、明治時代に郵便網を整備する過程において全国津々浦々に郵便局を設置する国策展開の中で、各地の名士に私財を貸与してもらってつくられたものでした。名士たちに現場の管理職たる局長の地位が与えられ、基本的に世襲制で引き継がれています。
この組織が大きな存在感を持っている理由は、局長が地域の名士であるという特性を生かし、昭和の時代から長きにわたって数十万票を握ると言われる政権政党の集票役として機能してきたことにあり、著しく政治色を帯びた団体であるからです。この組織の存在こそが、官営事業からの民営化を首尾良くランディングさせた、NTTやJR、JTと大きく異なる部分でもあります。
先に触れた通り、郵政事業は民営化から18年弱が経過しています。この間、全特は選挙における集票力を盾に、自民党をはじめその時々に民営化の進展を遅らせる法案を上程し旧体制擁護を後押しする政党への支持を続けてきました。
結果、小泉政権時に成立した2017年9月を完全民営化期限とする民営化法は、2012年に一部公有維持、民営化期限の削除を盛り込んだ改正法案となり、完全民営化計画は大きく後退したのです。これ以降、全特は自民党支援に回帰して今に至っています。
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