大東建託、がん診断で「休暇&一律100万円」 きっかけはとある社員の声
賃貸住宅建設大手の大東建託は8月から、がんと診断された社員に対して休暇と一律100万円を支給する新制度を導入。珍しい制度の背景には、がんに罹患した社員からのリアルな声があった。
国立がん研究センターが提供する「がん情報サービス」によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性63.3%、女性50.8%。2人に1人ががんと診断されている。
日本では毎年約70万人が新たにがんに罹患しているが、そのうち約22万人が、20〜64歳の働く世代だ。こうしたがんに罹患した働く世代を支えるため、賃貸住宅建設大手の大東建託は8月から、がんと診断された社員に対して休暇と一律100万円を支給する新制度を導入。珍しい制度の背景には、がんに罹患した社員からのリアルな声があった。
制度対象外の社員からも賞賛の声
制度の仕組みは、まず大東建託が団体がん保障保険に加入し、保険料を全額会社が負担する。がんになった社員に対し、保険会社から保険金として100万円を支払う。
対象となるのは社会保険未加入者を除く全従業員で、正社員だけではなく臨時従業員も含まれる。年齢や勤続年数、年や期ごとの人数制限もない。また、診断から2年経過後であれば、再発や転移での入院治療に対して再度100万円が支給される。
人事部長の佐藤研二氏によると、制度導入のきっかけはがんに罹患した社員の声だったという。「がんに罹患した社員のサポートをする中で、治療や休職に伴う経済的不安の訴えが聞かれることが度々ありました。がんと診断され治療するにあたり、会社として少しでも社員の精神的負担を軽減したいと考え、本制度を導入しました」(佐藤氏)
今回の新制度は金銭面をフォローするものだが、同社はそれ以外の制度も整えている。「仕事を続けながら治療する社員のため、通常の年次有給休暇とは別に、がんの通院治療に1時間単位でも使える休暇を7日付与しています。また、がん休職時は一定の条件のもと、最大24カ月と通常より長い休職期間を付与。平均治療期間に対応できるようにしました」(佐藤氏)
これら以外にも、疾病の早期発見・早期治療に役立てるため、がん以外も含む健康に関するオプション検査費用を健康保険組合と会社で最大5万円/年まで補助。全社員にがん研修実施し、がんに関する正しい知識の普及や各種制度の案内も実施している。
制度導入に際し、社内からは「心強い」「安心した」などの反響があったという。さらに、すでにがんに罹患した社員は金銭的補助は対象外となってしまうものの、休暇・休職制度の拡充に対して喜びの声が寄せられたそうだ。佐藤氏は「がんに限らず各種の両立支援制度の整備や、働きやすい職場環境づくりを目指す」と話した。
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