業界トップ→株価が数十円に…… 懐かしの「小僧寿し」は復活できるのか(2/3 ページ)
かつて外食企業の中でもトップとなる売り上げを誇り、大規模な店舗展開をしていた小僧寿し。今では大きく衰退してしまったが、復活はできるのか?
すかいらーく傘下でも再生できず、過去には債務超過に
2000店舗台を維持していた1993年当時、3割を占める約600店舗が首都圏にあった。つまり都心に集中していたわけではなく、全国的に展開していた。しかし、1990年代後半から店舗数を減らし、業績も悪化していく。
2006年には、すかいらーくが小僧寿しを買収した。テコ入れを図るも再建できず、すかいらーくは2012年に小僧寿しを売却。食材調達の共有化などのシナジーを狙ったが、そもそもすかいらーくはテークアウト専業店のノウハウを持たない上に寿司業態を展開しておらず、効果が薄かったと考えられる。
たび重なる赤字や、宅配サービスの「デリズ」買収によるのれん計上などで2018年12月には債務超過に陥っており、債務の株式化やファンドに対する新株予約権の発行で翌年に何とか債務超過を解消した。株価は2004年まで1000円以上を維持していたものの、リーマンショック前後で急落し続け、2016年以降は2ケタ台の超低位株、通称「ボロ株」となった。
スーパーと回転寿司に押された
小僧寿しから客を奪ったのは食品スーパーと回転寿司チェーンである。食品スーパーでは以前から寿司を販売していたが、共働き世帯の増加に伴い、1990年代から総菜や弁当コーナーを拡充するようになった。ダイエーやイトーヨーカドーなどの大手による画一化も進み、現在のような食品スーパーの商品構成となる。
回転寿司チェーンに関しては、1979年創業のかっぱ寿司が台頭し、より手軽に寿司を食べられるようになった。2000年代からはスシロー、くら寿司、はま寿司も勢力を拡大していく。回転寿司店はテークアウトに対応しているため、中食需要の面でも小僧寿しの優位性が失われた。また、小僧寿しが得意とするロードサイドや住宅地という立地も回転寿司と重なる。
品質や価格帯においても、小僧寿しの優位性はなかった。2000年代の客単価は1000円台前半で、デフレ時代には平日限定で9個390円、14個500円の弁当を販売していたこともある。一方で食品スーパーも寿司1人前は1000円以下が相場。回転寿司の客単価も1000円程度である。価格と品質が相関すると仮定すれば、小僧寿しがスーパー・回転寿司に対して味の点で支持されていたとは考えにくい。
対照的に前身となる「寿司衛門」を1998年にオープンした宅配専用の「銀のさら」は、客単価5000円超と高価格帯だ。訪問客のもてなし需要を取り込んで拡大し、2025年3月末時点で350店舗を超える。
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