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業界トップ→株価が数十円に…… 懐かしの「小僧寿し」は復活できるのか(3/3 ページ)

かつて外食企業の中でもトップとなる売り上げを誇り、大規模な店舗展開をしていた小僧寿し。今では大きく衰退してしまったが、復活はできるのか?

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「ボロ株」から脱却できるか

 小僧寿しを運営するKOZOホールディングスのピーク時売上高は、2002年12月期の369億円だ。業績悪化に伴い縮小し、2016〜19年度は50億円台を推移していた。だがコロナ禍以降、再成長し続けており、2022年度には100億円を突破。

 依然として赤字だが、2024年12月期の売上高は181億円である。小僧寿しの縮小が続く一方、M&Aによる多角化を進めているのが増収の要因だろう。2024年度における各セグメントの売上高は下記の通りである。

小売事業:45.5億円

流通事業:103.8億円

飲食事業:53.4億円


 小売事業は祖業の小僧寿しに関する事業であり、不採算店の閉鎖やFC店の直営化を進めている。流通事業は、2018年に買収したデリズや2023年に買収した東洋商事が手がける事業だ。宅配に限定したフードデリバリーや食品の卸売などを展開する。


苦境から脱却できるのか(同前)

 飲食事業は2022年に買収した外食2社を中心とする事業で、規模は既に小売事業を上回る。業態は居酒屋やラーメン店など多岐にわたり、2024年度末時点で直営26店舗、FC239店舗を展開している。比較的認知度の高いチェーンとしてメキシカン・ファストフードの「TacoBell」が挙げられる。

 KOZOホールディングスの株価は2025年6月まで20円を切っていたが、7月に40円まで急上昇し、直近では30円前後を推移している。英国企業とフランチャイズ契約を結び、ロンドンに小僧寿しを2店舗出店したことが好材料となったようだ。ゼンショーが欧米を中心にテークアウト寿司店を約9500店舗展開しているように、海外でテークアウト寿司業態のニーズは大きい。


6月にロンドンでオープンした「小僧寿し Japan Centre 店」(出所:プレスリリース)

 国内の小僧寿しが再成長する可能性は低いため、再成長を図るなら多角化か海外展開が選択肢となる。ボロ株を脱却する日は来るだろうか、KOZOホールディングスの今後に注目したい。

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


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