2015年7月27日以前の記事
検索
コラム

万博で話題「動くごみ箱」、何がすごい? 実用化が進む「スマートごみ箱」の現在(1/3 ページ)

万博で「動くごみ箱」が話題だ。すでに実用化している企業もいくつかあり、インバウンドの流入が多い自治体では導入が進むかもしれないが、課題もある。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


 大阪万博会場の「動くごみ箱」が話題になっている。

 見た目は白いごみ箱だが、動力源が付いており、時速1キロで自律走行する。人が近付くと止まる仕組みだ。晴天時の水・木・金曜日に大屋根リング上を動き、来場者のごみを集める。

 自動化やDXとは程遠い存在に思えるごみ箱だが、実は近年こうしたテクノロジーを活用した事例が増えている。太陽光発電や圧縮機能、満杯を知らせる機能を搭載したものも登場した。観光地ではごみ箱が少なく、ポイ捨ても問題になっているが、こうした課題を解決してくれるかもしれない。


出所:ゲッティイメージズ

どんなロボット?

 万博会場で動いているのは三菱電機が開発した「ごみ箱ロボット」だ。燃えるごみ、缶、ペットボトルと3種類の投入口がある。自走式で会場の大屋根リング上を行き来し、カメラとセンサーが付いており、ごみを捨てたい人が近づくと自動で停止する仕組みだ。


人を検知して停止する(出所:三菱電機公式Webサイト)

 最大荷重は100キロ。準天頂衛星「みちびき」の情報で移動し、駅や商業施設内のように清掃員がごみ箱の場所まで移動する必要もない。


準天頂衛星受信機アンテナもついており、複数のカメラも搭載している(同前)

 現在、このごみ箱ロボットは実用化されておらず、万博では実証という位置付けで運用している。三菱電機はリゾートホテルや医療施設での採用を見据えているようだ。

 なお、同社は2023年にNTTデータと共同で実証実験も行っている。都内にあるビルの屋内で、温度・湿度のデータを収集し、AI空調システムに送信する機能を搭載したロボットを使い、ごみ収集だけでなく施設内のデータを基に空調を節電する効果を発揮したという。

 このように、移動式であればごみ捨て以外の用途をロボットに追加できる。例えば全体を見渡すカメラをつければ警備ロボットのような機能を持たせられる。移動式ごみ箱の持つ可能性は大きい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る