Sansanはなぜ、AI活用を「人事主導」で進めるのか AI利用は8割超え、業務時間9割削減の事例も(4/6 ページ)
生成AI導入を進める中で「導入したものの一部の社員しか使っていない」「業務にどう生かせばいいか分からない」といった声は後を絶たない。そんな中、Sansanは社員の99%が一度はAIを活用し、8割以上が日常的に使用するという成果を生み出している。その秘訣は、IT部門ではなく人事部門が主導するアプローチにあった。
「ノルマ」も設定して活用を後押し
簡単な活用に慣れてきたら、メンバーからより高度な要望が出てきた。そこでフェーズ3「複雑な業務への応用」に進んだ。
「AI側が読み取りやすいのはどんなデータか。どんなプロンプトだと、期待通りの出力をしてくれるのか。何度も試行錯誤しました」(西家氏)
「カスタムGPT」の開発やデータ分析の高度化も、この段階で実現した。そして現在はフェーズ4「創造的な活用」の段階に挑戦しているという。例えば、Deep Research機能を活用して、著名マーケターをペルソナ化し、施策のブレストに活用している。
「GPTにその方になりきってもらって、施策の壁打ちを行っています。すると『確かにその観点はなかったな』という発見が生まれました」(西家氏)
しかし、フェーズを設定しただけでは、ここまで短期間で全員が積極的に使うようにはならなかっただろう。そこには、部門メンバーに課したとある「ノルマ」も関係していた。
「ChatGPTとGeminiの週次チャット数を可視化するChrome拡張機能を開発し、週100チャットを目標に設定しました」(西家氏)
このノルマによって、メンバーそれぞれのAI使用状況を可視化できるように。その結果「あの人は週に100チャット以上のノルマを達成できている。どう活用すれば、そんなにAIを使えるんだろう?」という疑問が自然に生まれ、ナレッジ共有が活発になったのだ。
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