出店攻勢が頭打ちの中、小売業が生き残るための「5つの脱」戦略とは?(1/4 ページ)
これまで有効とされてきた出店攻勢が通用しなくなりつつある今、小売業が取るべき戦略とは何か。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
今回の記事では、大手小売業92社の業績と出店の傾向から、今後の小売業における最大の論点を整理します。
出店を増やしている業態、減らしている業態
小売業において、従来は「出店」が売り上げをつくる上で最大ともいえる重要施策であり、人口減少、店舗飽和の日本市場においても出店攻勢が続いていました。直近ではどうなっているでしょうか。次のグラフは各業態の出店と閉店を合計し純増数を示したものです。
ドラッグストアが顕著な出店傾向にあり、次いでCVS(コンビニ)、微増のラインにスーパーとホームセンターが位置します。反対に、GMSと家電量販店は減少傾向になっています。
また、伸長している業態でもコンビニではセブン-イレブン・ジャパンが純増分の90%を占め、ホームセンターはコーナン商事が91%、ドラッグストアはスギホールディングスが39%を占めます。つまり、この3社以外は大規模な出店をほとんど行っていません。小売市場全体で出店攻勢は停滞しているのです。
出店が鈍化する中にあっても、上場企業は株主から増収増益を求められますから、売り上げも利益も増やしていく施策を講じなくてはなりません。では現状の売り上げと営業利益の成長性はどうなっているのでしょうか。
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