出店攻勢が頭打ちの中、小売業が生き残るための「5つの脱」戦略とは?(2/4 ページ)
これまで有効とされてきた出店攻勢が通用しなくなりつつある今、小売業が取るべき戦略とは何か。
業態ごとに明暗が分かれている
次のグラフは、縦軸に営業利益の前年成長率、横軸に売上高の前年成長率を示しています(各業態の上位企業の平均を基に作成)。百貨店、家電量販店、アパレル専門店、カー用品、通販専業業態が売り上げ、営業利益ともに成長著しく、収益性が向上していることが見てとれます。
一方でコンビニとホームセンターは売り上げと営業利益の成長が鈍化傾向にあります。スーパー・GMSは微増、ドラッグストアは売り上げの成長率よりも営業利益の成長率が低いため、出店攻勢などの費用によって収益性は鈍化傾向です。
さらに次のグラフは業態別の営業利益率比較です。フランチャイズ店舗からのロイヤリティモデルであるコンビニの収益性は依然高く、SPA型のファーストリテイリングのような高収益企業がけん引するアパレル専門店(12.9%)、百貨店(10.7%)と続きます。
こうした傾向の中で、小売業が今後さらに増収増益を実現するために必要な施策とは何でしょうか。筆者なりにまとめると、次のような流れになります。
「出店で大きな売り上げをつくることは難しい、つまり既存店の売り上げを上げていかなくてはならない。しかし人口減少、店舗が飽和している中で既存店の売り上げを飛躍的に拡大することは難しい。原価や物流費が高騰する中、賃金上昇は追い付いておらず、値上げをすると一定量の顧客離反、売上減が発生することは立証済み。よって低価格路線は維持していく必要がある。かといって自社の利益が減ってしまっては成り立たない。ということは利益率の良い商品を購入してもらう必要性がある」
利益率の良い商品として真っ先に挙がるのがPB(プライベートブランド)ということになり、したがって各社はPBの売上拡大に積極的に取り組んでいます。しかしこれは今に始まったことではなく、長年試行錯誤を繰り返してきた歴史があります。
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