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出店攻勢が頭打ちの中、小売業が生き残るための「5つの脱」戦略とは?(4/4 ページ)

これまで有効とされてきた出店攻勢が通用しなくなりつつある今、小売業が取るべき戦略とは何か。

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PBとNBの「差」は常に念頭に置くべし

 PBの売り上げを拡大させる上で、留意しなくてはいけない大前提を最後に整理したいと思います。次の表にあるように、PBとNBには価格差があります。

 この一例でいえば、PBはNBよりも22.9%価格が低いことになります。つまり、同じ数の購買がNBからPBに移行したとしても、粗利率は上がるが売り上げは減る、ということです。もちろん粗利が減るケースもあることでしょう。

 つまり、店舗に来ている人がPBに移行するだけでは、売り上げと利益の両面で成果を上げることは難しく、他店でNBやPBを購入している人に来店してもらってこそ最大の成果につながるのです。

 それを実現するにはPBに商品価値があり、顧客の生活をどのようにより良いものに変えられるかが重要です。価値がなければいかに多大な広告を展開しても空振りに終わってしまいます。

 小売業におけるPBの価値創出は、今後の戦略上において重要な柱であることに間違いはありません。各企業のオリジナリティ、独自価値を創出する鍵を握るのがPBです。PBによる価値創出は、他社のものを卸す、販売することを軸にするのではなく、自社がオリジナルの価値メーカーになるということを意味します。

 これは実は小売業に限らず、広告業やIT業、商社、飲食業など多くの業種に通じるものがあります。自社独自の商品、サービスを持っているのか、そしてそれは顧客目線で明確な価値を備えているのかを常に念頭に置くようにしましょう。

 最後までお読みいただきありがとうございました。

著者プロフィール

佐久間俊一(さくま しゅんいち)

レノン株式会社 代表取締役 CEO

城北宣広株式会社(広告業)社外取締役

著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。

グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。

2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。

2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。

日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。


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