中国を抜くのも秒読み? ベトナムのイオンモールで見た「成長市場」の凄まじさ(1/5 ページ)
海外への出店を重ねているイオンモールのうち、成長が著しいのがベトナムだ。実際に訪問してみた景色を基に、イオンモールの今後を分析していく。
著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
ムガマエ株式会社 代表取締役社長/経営コンサルタント
1969年、静岡市生まれ。船井総合研究所にて28年間、上席コンサルタントとして従事したのち、同社創業。流通小売・サービス業界のコンサルティングのスペシャリスト。
2025年7月上旬、ベトナムのハノイにあるイオンモールを視察し、あまりにも多くのお客さんが来店している光景を目の当たりにし、驚きました。これまで国内外で数千店舗を見てきましたが、あれほどたくさんのお客さんが入っているモールを見たのは初めてです。1日中にぎわっている店内の空気感に圧倒されて、ベトナムの商圏の勢いと可能性を実感して帰国しました。
イオンモールは今、アジアの中で特にベトナムへ徹底的に投資をしていこうとしています。流通小売り・サービス業のコンサルティングを約30年続けてきているムガマエ代表の岩崎剛幸が、イオンモールの海外展開の現状とこれからの課題についてマーケティングの視点から分析していきます。
日本のモールと大きく違う点とは?
ベトナムでいくつかのイオンモールに足を運びましたが、中でもハノイにある「イオンモール ハドン店」の印象が強烈でした。
同店は2019年12月にオープンし、延床面積は当時「ベトナム最大」をうたう15万平方メートル。駐車場2100台分に加え、 ベトナムらしいのがバイクなどを止める駐輪場を9000台分用意していることでしょう。また、専門店は200店舗以上が入店し、日本のイオンモールにひけをとらない規模のモールです。
朝から訪問し、半日ほど視察したところ、その間はずっと客が絶えることがありませんでした。視察した日は日曜日で、夏のセール終盤だったこともありますが、それにしてもすごい人出で、オープンから6年もたっているモールとは思えない盛況ぶりです。
特に驚いたのは、子連れ客の多さです。ベトナムでは「次世代ファミリー層」と呼ぶようですが、小さな子どもを連れたファミリー客が圧倒的に多いのです。日本のモールとは、この点が最大の違いでしょう。一家族で4〜6人ほど来店するわけですから、モール内が混雑するのも当然です。中には3世代で来店する姿もあり、フードコートも大にぎわいです。
もはや日本で見ることがない、広い玩具売場とそのレジの行列にも驚きました。どこもかしこも子どもだらけで、ショッピングモールというのはベトナムのようなファミリー客の多く住む商圏でこそ、もっとも繁盛するものなのだ、ということを再認識させられました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


