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中国を抜くのも秒読み? ベトナムのイオンモールで見た「成長市場」の凄まじさ(3/5 ページ)

海外への出店を重ねているイオンモールのうち、成長が著しいのがベトナムだ。実際に訪問してみた景色を基に、イオンモールの今後を分析していく。

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今や中国を「食う」勢いのベトナム事業

 イオンが現在、海外において最重要市場と位置付けるベトナム市場を、今度は数値面から分析してみましょう。

 まず、イオンモールの国内外の売上高にあたる営業収益は、2025年2月期が4497億円で前期比106.3%。営業利益は521億円(同112.4%)、経常利益は425億円(同114.9%)と軒並み数字を伸ばしています。

 これを国内外で分けると、同社の経営の方向性が見て取れます。

 イオンモールの国内対海外比率は、営業収益・営業利益ともに国内が8割前後を占めています。さらに営業利益の構成を見ると、郊外を中心とした国内モールが全体の大半を占め、収益の柱であることが分かります。都市型SCの営業利益は赤字で、イオンモールはやはり郊外型の大型モールで稼いでいるのが実態です。

 海外は中国が営業収益全体の15%を占め、同社の第2の柱となってきました。しかし2024年度営業利益は前期比マイナスで伸び悩んでいます。中国市場の来店客数は増えているものの、新規モールの開発投資がかさんでいることと、一部、既存モールの閉鎖などが影響し、利益が減少しています。中国市場そのものが減退傾向にあることも、マイナスに振れている要因でしょう。

 一方のイオンモールベトナムはどうでしょうか。営業収益ベースでは海外市場の中では16.6%と中国に次ぐ市場ですが、全社構成比では3.9%。まだ目立った存在とはいえません。しかし、営業利益の構成比では全社の8.1%を占め、中国(9.1%)に迫る勢いです。伸び率も堅調で、2025年度は中国を追い抜く可能性もあります。つまり、イオンモールベトナムは同社の次の柱になり得る可能性を秘めているわけです。


イオンモール決算資料を基に筆者作成

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