2015年7月27日以前の記事
検索
ニュース

賛否呼ぶ「スポット保育士」 スキマバイトアプリ使う現場の実態は?(3/3 ページ)

ひとりの母親が匿名ブログで待機児童問題を訴えた「保育園落ちた日本死ね」騒動から9年。待機児童数はピークだった8年前の1割未満、令和7年4月時点で2254人(こども家庭庁調べ)にまで減ったが、また次の論議が熱を帯びてきた。単発の求人と働き手をマッチングする、スキマバイトアプリ経由で働く「スポット保育士」の存在が賛否を呼んでいる。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
産経新聞
前のページへ |       

 保育士不足、定着率の低さの要因として、報酬に比して責任と労力の過重が指摘され続けている。

 保護者との連絡帳、業務日誌や指導計画の作成、登園管理など保育士が担う事務作業をICT(情報通信技術)で効率化するコドモン(本社・東京都品川区)は5月、システムの利用施設に対して「スポット保育士利用に関する調査」(有効回答258件)を実施。それによると、利用したことのある施設は12.4%で満足度は94%と高いが、未利用施設では76%が今後も利用せずの意向を示した。

 「利用のあるなしで真逆の評価といえる結果が出た。私も3歳の子を保育園に通わせており不安も感じてはいるが、保育士の有効求人倍率が4倍に迫る争奪戦状態のなか、今後どのような活用ができるのか。まずは実態を知り、可能性を探りたい」とコドモン広報グループの菊地亜希マネジャー(41)。

 同社システム契約は全国682自治体に及び、施設数2万2631所、対象の保護者は379万人、園児・児童191万人に上る。


 来年度から親の就労状態を問わず保育園などに預けられる「こども誰でも通園制度」が本格実施され、人材確保の切迫度は益々高まるだろう。面接ですら見抜くことが容易でない能力や人柄の見極めをアプリに求めるのは困難であり、スポット保育士が望ましい就労形態であるとはいえない。しかし、これも日本の実情だ。外国人労働者などに頼る前に、国民全体で議論を深める必要があると思う。(重松明子)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る