“寺離れ”にデジタルで立ち向かう 「アプリ」「婚活」まで手掛ける、築地本願寺の“スマートテンプル”戦略(2/3 ページ)
400年以上の歴史を有する築地本願寺は今、“スマートテンプル”としてその在り方を大きく変化させている。
お坊さん中心”の運営→外部人材の活用 元銀行マンやIT人材が活躍
これらの改革の背景に、積極的な外部人材の活用がある。
改革を推進した安永雄玄氏(元・築地本願寺 宗務長)は元銀行員で、コンサルタント会社の社長をしていた“ビジネス畑”出身者だ。「これまで何か決める際は僧侶だけで話していたが、外部の有識者も交えて議論するようになった」(東森さん)
銀行で基幹システムの開発に携わっていた人、金融機関でグローバルで使用するシステムを構築した経験のある人、IT系企業出身者……さまざまな人材が活躍する。
これまでも「そもそもお経が何か分からないかもしれない」「お寺で僧侶が何をしているのか、初めての人は分からないから、ライブ配信では字幕を入れるべきだ」などの意見は出ていたというが、外部からの視点で出される意見によって、より分かりやすく伝えるための工夫が広がるきっかけになったという。
特にデジタル化の取り組みを支えたのは、定年などでリタイアしたIT人材の方々だ。東森さんは「自分たちだけでは当然できず、システムを導入する際の考え方、マニュアルの作り方……そういった基本的な部分から全て教えてもらった」と振り返る。
コンタクトセンター立ち上げ時には、航空業界から出向してきたメンバーを中心とした外部人材が、応対のポイントなどをレクチャーしたという。
今までは僧侶だけで会話していたところに、突然ビジネスパーソンが乗り込んでくる……。もちろん最初はハレーションもあった。「ビジネスの場でよく使用される横文字のワードなどにはなじみがない。特に、僧侶は言葉を大切にするので、(当時旗を振っていた)安永さんの一つ一つの言葉選びに対して違和感がある人も多かったですね」
しかし、スピード感を持って取り組みが進み、施設内にどんどん外部人材が増えたことで、こういった疑問も少しずつ解消されていった。
「僧侶だけの同質的な組織だったところから、全体の3分の1ほどが僧侶以外の人材に。話がスムーズに進み、さまざまな知見が共有されるようになりました」
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