天下一品を大量閉店→自社ブランドとしてリニューアル 黒い背脂ラーメン「伍福軒」は成功するのか:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
フランチャイズ店舗として運営していた「天下一品」を大量閉店し、自社ブランドへの転換を進めるエムピーキッチン。新たに生まれたラーメン店「伍福軒」は、果たして成功するのか。
参考にしたのは「京都ラーメン」?
2024年、エムピーキッチンが経営する都内の天下一品6店が一斉に閉店した。一部を同社が経営する一口餃子の業態「八宝亭」に転換した以外は、三田製麺所になった。2025年の一斉閉店では、各店の近くに既に三田製麺所の店舗があり、自社競合を避けるため伍福軒を開発したのだろう。
主なメニューの価格は「背脂黒醤油ラーメン」(並)が790円。スープ付きの黒ヤキメシ(並)が760円で「黒ヤキメシ定食(背脂黒醤油ラーメンと黒ヤキメシハーフサイズのセット)」は1050円となっている。店によってはサイドメニューで餃子、水餃子、唐揚げなどもある。東京では「1000円の壁」を超えたラーメンが珍しくないが、800円を切る価格で食べられ、顧客の財布にやさしい価格設定だ。
東京では「背脂チャッチャ系」のラーメンが、1980〜90年代に流行った記憶がある。総じてスープは明るい茶色の豚骨醤油で、黒くはなかった。また、伍福亭と異なり脂っこい印象もある。その他、ご当地ラーメンでは広島県の尾道ラーメンも、大ぶりな背脂ミンチが大量にスープに浮いているが、伍福亭の場合はそこまで背脂は主張していない。
これらより類似性を感じるのは、京都駅近くの「たかばし」と呼ばれる地域にある老舗ラーメン店「新福菜館」だ。1938年に屋台のラーメンとして発祥し、都内にもいくつか店を出している。
新福菜館の中華そばは、背脂は入っていないものの刻んだ九条ネギや軟らかいチャーシューをトッピング。濃口醤油を使った黒いスープで、中細ストレート麺のラーメンだ。黒いヤキメシも提供している。背脂を除けば、この店こそが伍福軒のルーツではないかと思える。
京都・たかばしの新福菜館の隣には、同じく人気の老舗ラーメン店で都内に店を出す「本家 第一旭」もある。こちらのラーメンもかなり黒っぽいが、真っ黒ではない。見た目は新福菜館と似ているが、シャキシャキのもやしもトッピングされていて、味はマイルドに感じられる。チェーンの全店ではないが、一部にはヤキメシを出す店もある。東京・神保町店のヤキメシは、かなり黒っぽい。
黒いラーメンと黒いヤキメシは、京都のラーメンの伝統としてあったようだ。
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