「転勤するなら退職・転職」3社に1社が経験あり 東京商工リサーチが調査
3社に1社が、転勤などを理由とした従業員の退職を経験している──そんな結果が、東京商工リサーチが実施した調査で分かった。
3社に1社が、転勤などを理由とした従業員の退職を経験している──そんな結果が、東京商工リサーチが実施した調査で分かった。
転勤が多い産業1位は「金融・保険業」
転勤や配置転換、グループ会社への転籍の実績がある企業の割合は36.2%に上った。転勤がある企業を産業別にみると「金融・保険業」(60.0%)が最も多く、「運輸業」(52.6%)、「卸売業」(42.1%)と続いた。なお割合が最も少ないのは、「不動産業」(24.5%)だった。
3社に1社が「転職を理由に退職があった」
転勤などがある企業に対し、「直近3年で転勤や配置転換、グループ会社への転籍を理由とした従業員の退職はあったか」と聞くと、30.1%が「あった」(「正社員・非正規社員であった」「正社員のみであった」「非正規社員のみであった」の計)とした。規模別でみると、大企業では38.0%、中小企業では28.3%だった。
柔軟な転勤制度を導入している企業は約1割
転勤や配置転換、グループ会社への転籍を自身で選択できる制度や転勤手当、エリア社員制度(勤務地限定の社員)を導入している企業は14.6%にとどまった(「導入している」「導入し、直近3年以内に内容を見直した」の計)。大企業であっても、導入している割合は31.1%だった。
転勤は会社都合によることが多いが、夫婦共働き世帯の増加や育児・介護などにより大きな負担になっている。また、転職市場が急拡大し、終身雇用の意識も薄れてきた。こうした背景から大きな負担が生じる転勤より、転職を選ぶ流れが広がっている。
東京商工リサーチは「転勤制度は従業員の退職リスクに加え、採用時のネックにもなっている。こうした背景を踏まえ、従業員の維持や確保のため、企業はより柔軟な転勤制度を一考する必要性が出てきた」とコメントした。
調査は7月30日〜8月6日、企業を対象にインターネットで実施した。有効回答6691件を集計・分析。資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
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