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営業1人あたり年「100時間」業務削減 ナレッジワークが生成AI活用で目指す“組織のスリム化”なぜ「人事主導」で進めた?(2/2 ページ)

ナレッジワークでは生成AIの活用に取り組み、業務プロセスの変革や顧客接点での価値向上を実現してきました。セールス部門では1人あたり年間100時間の業務時間削減を達成するなど、大きな成果を出し、現在はAI活用で適正な人員での組織運営を実現し、少ない人数で高い成果を目指せる組織作りを強化しているといいます。

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リスクにばかり気を取られていては何も進まない

弘中: AIに対する抵抗はありませんでしたか? 特にセキュリティ面での懸念など。

田口さん: 社内では少なかったですが、世の中的にはよくありますよね。でも、セキュリティを理由に規制を強めることそれ自体が非効率を生みます。どちらかではなく両立を真剣に考えないと、ビジネス自体が弱くなる。そこを理解してトップダウンで決め切る姿勢が必要だと思います。

 弊社は多くの日本のエンタープライズ企業とビジネスをさせていただいているので、そのような企業のトップ層の方々とAIについて議論をすると、スタートアップ企業よりも投資額も大きくスピード感を持って進めている印象があります。

弘中: それは意外ですね。具体的なエピソードがあれば教えてください。

田口さん: 当社のお客さまのお話ですが、ナレッジワークにもAI機能が搭載されています。この企業様ではずっと弊社のAI機能をオフにして利用されていたのですが、ある時そこのトップの方とお話をする機会があり、そこでAIの活用可能性について議論した後にその方から「うちの会社でもAI機能をオンにしよう。何かあったら自分が責任を取るから進めよう」と言っていただきました。

弘中: トップの意思決定の重要性がよく分かる事例ですね。今後の展望も教えていただけますか?

田口さん: 当社は現在、現場で働く一人一人のイネーブルメント(成果創出や能力向上)の実現を掲げ、セールスイネーブルメントを推進するAIツールを展開しています。また、これまで蓄積してきたイネーブルメントメソッドとデータをもとに、営業担当者のさまざまな仕事を自律的に支援するセールスAIエージェントの開発も進めています。

 例えば、日本でARR100億円を達成するのに300人必要なところを200人の精鋭チームでやる──その差分をAIで埋める構想です。

弘中: 壮大ですね。

田口さん: はい、壮大です。でも今のAIの進化を見ているとすごく現実的でもあると感じています。労働力の最適化としてのAI活用は、採用計画を見直して投資原資に充てるという戦略ですから。成功事例をHR部門から他部署、そして外部提供へと展開していきたいですね。

弘中: 最後に、これからAI活用を考えているみなさまに向けてメッセージをお願いします。

田口さん: これだけAIという大きな波が来ているので、まずは「この波に乗ってみる」という、いわば波乗り感覚を持つことが大事だと、お客さまからも勉強させてもらいました。まだ本格的な取り組みは2024年10月からですが、これまでに多くのAIに関する失敗もしてきました。お困りの際には、ここでは言えない失敗談も共有できますので、みんなでこのAIの波に乗って新しいビジネスを創っていきましょう!

弘中: 貴重なお話をありがとうございました。ナレッジワークの取り組みは、多くの企業にとって参考になると思います。


左:ナレッジワークの執行役員 VP/Revenue・田口槙吾氏、右:GainsightのStrategic Account Executive・弘中丈巳氏

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