“失われた30年”は本当に失われたのか 個人が手にした3つの自由:2040年の人材ビジネス大予測(3/5 ページ)
「失われた30年」は雇用の硬直を壊し、キャリア・時間・自己実現の“3つの自由”をもたらした。人材ビジネスの未来を読み解く。
終身雇用制度の終焉のメリット
「失われた30年」――この言葉は、日本経済の長期停滞を表現する際によく使われます。
しかし、この期間で私たちが得たものもあります。それは働き方の自由度です。終身雇用制度の終焉は、実は個人と企業の双方に新たな可能性をもたらしているのです。
終身雇用からの解放は、個人に「3つの自由」という贈り物をもたらしました。その恩恵は、具体的な数字となって表れ始めています。
1つ目は「キャリアの自由」です。同じ企業で定年まで働く必要がなくなったことで、より高度なスキルや経験を求めて、戦略的なキャリアアップが可能になりました。特にIT業界では、転職による年収アップ率が平均15〜20%とされ、同一企業での昇給率(年3〜4%)を大きく上回っています。また、転職経験者の約65%が「仕事の満足度が向上した」と回答しているというデータもあります。
2つ目は「時間の自由」です。テレワークやフレックスタイム制の普及により、働く時間と場所の選択肢が大幅に広がりました。厚生労働省の調査によれば、2023年時点で大企業の約70%がテレワークを導入。この変化は、特に子育て世代や介護を担う従業員のワークライフバランスに革新的な改善をもたらしています。実際、テレワーク導入企業の従業員満足度は、未導入企業と比べて平均30%高いというデータも存在します。
3つ目は「自己実現の自由」です。自分の興味や強みを生かせる仕事を選べるようになったことで、より高いモチベーションでの就業が可能になりました。特筆すべきは、この「自己実現」が単なる理想論ではなく、具体的な成果として表れている点です。例えば、自身の専門性や興味に基づいて転職した人材の約75%が、3年以内に管理職やスペシャリストとしてのポジションを獲得しているというデータがあります。
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