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“失われた30年”は本当に失われたのか 個人が手にした3つの自由2040年の人材ビジネス大予測(4/5 ページ)

「失われた30年」は雇用の硬直を壊し、キャリア・時間・自己実現の“3つの自由”をもたらした。人材ビジネスの未来を読み解く。

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 このような変化に対応するために、個人には「T字型人材」になることが推奨されています。専門性を深めながら(縦軸)、幅広い知識や経験を獲得する(横軸)という生存戦略です。実際、複数の職種や業界を経験した人材の年収は、平均して20%以上高いというデータがあります。この戦略は具体的な成果をもたらしているのです。

 さらに、キャリアの自由度が高まったことで、「副業・複業」という新しい働き方も広がっています。2023年の調査では、副業を持つ正社員の割合が15%を超え、その85%が「スキル向上につながっている」と回答しています。総務省の調査では、副業・兼業者の割合は2020年の10%から2040年には3倍の30%に増加すると予想されています。


(出典:ゲッティイメージズ)

 一方、終身雇用の終焉は、企業側にも革新的なメリットをもたらしています。

 最大の恩恵は、人材の流動性が高まることにより、「人材の多様化」がもたらすイノベーションの可能性です。これは、すでに業績に貢献し始めています。

 例えばユニクロを展開するファーストリテイリングでは、外部からの人材登用を積極的に行い、2010年から2020年の10年間で売上高を2.5倍に成長させました。多様なバックグラウンドを持つ人材が新しい視点と手法をもたらしたのです。同様に、楽天やソフトバンクといった企業も、積極的な外部人材の登用により、従来の日本企業では考えられなかったスピードでの事業展開を実現しています。

 また、組織の柔軟性も大きく向上しています。

 人材の流動化に対応することで、企業は環境変化に応じて迅速に組織構造を変更できるようになりました。実際、日本のスタートアップ企業の約80%が「人材の流動性が高いことが、事業成長のカギとなっている」と回答しています。

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