セブンはなぜ、「長いカウンター」を導入するのか コンビニ御三家、高齢社会へのそれぞれの対応策(3/3 ページ)
これまでさまざまなサービスを生み出してきたコンビニだが、直近でも激しく変化を続けている。各社の施策を追った。
昔は若者が利用していたコンビニだったが……
長い時間をかけ、コンビニの客層は大きく変化してきた。セブン&アイ・ホールディングスの調査によると、1992年度には20代未満と20代だけで来店客の過半数(58%)を占めていたが、2001年度には半分を割り、2024年度は22%まで減少した。反対に同年度は50歳以上が39%、40代が23%を占めている。
国内の人口構成と比較した場合、コンビニの来店客は若い傾向があるが、それでも中年以上が主になっているのだ。この間に共働き世帯も増えて女性客も増加、以前は「8対2」といわれていた男女比も現在では半数ずつになっている。
セブンやファミマが雑誌やイートインを縮小して日用品・雑貨を増やし、ローソンがまちかど厨房を拡大するのは、こうした変化に対応するためだ。かつてのコンビニは男性がたばこや食料品、酒類を買うための店舗だった。だが、高齢化や女性客の増加に対応し変化してきたのである。また、働き手不足に対してはDXで対応しようとしている。自動陳列や自動清掃ロボなどの構想もあるが、現時点で有効な施策はセルフレジに限られる。
直近ではコンビニでの市販薬販売を可能にする法律も可決された。薬剤師が常駐しなくても、オンラインで説明すれば販売できるようになる。「ドラッグストアに対して、どういった薬に注力するのか」「薬とのクロスセルを目的にどの商品を強化するのか」など、商品構成に市販薬が加われば、コンビニ各社はさらなるレイアウト変更を迫られるだろう。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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