優秀な人材に選ばれる会社とは? これからの採用で問われる企業の姿:2040年の人材ビジネス大予測(2/5 ページ)
労働力人口の激減で、採用は「企業が選ぶ」から「人材に選ばれる」へ。採用力が企業の存続を左右する時代、勝ち残る条件を探る。
さらに重要なのは、採用後の「ミスマッチコスト」の増大です。従来型の採用プロセスを維持している企業では、入社1年以内の離職率が平均28%に達します。1人の若手社員の採用・育成にかかるコストが平均850万円という試算を考えると、これは深刻な経営課題といえるでしょう。
特に深刻なのは、「隠れたコスト」の存在です。離職者1人あたりの直接的なコスト(採用・研修費用など)に加え、チーム生産性の低下、残された社員のモチベーション低下、企業ブランドへの悪影響など、間接的なコストは直接コストの2.5倍に達するという分析もあります。
このような状況下で、先進的な企業はすでに対応を始めています。
そのひとつが「逆求人型」採用プロセスの導入です。候補者が自身のスキルや志向を提示し、それに対して企業が応募するという形式です。実際、このアプローチを導入した企業では、採用成功率が平均で32%向上したというデータがあります。
このほか、効果的な打ち手として注目されているのが「評価基準の透明化」です。従来の「総合的な判断」という曖昧な評価から、具体的で測定可能な基準への移行です。この変更により、採用のミスマッチが平均で38%減少したという報告もあります。
ほかにも「適応型採用戦略」の展開をしている企業もあります。これは、市場環境や候補者のニーズに応じて、採用基準や条件を柔軟に調整していく手法です。この戦略を導入した企業では、人材確保率が平均45%向上しています。
労働力人口の激減は、まさに「静かな地殻変動」です。表面的な対応や部分的な改善では、もはや対処できません。企業には、採用に関する根本的なパラダイムシフトが求められているのです。この変革に適応できるかどうかが、企業の存続にダイレクトに影響していきます。
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