優秀な人材に選ばれる会社とは? これからの採用で問われる企業の姿:2040年の人材ビジネス大予測(3/5 ページ)
労働力人口の激減で、採用は「企業が選ぶ」から「人材に選ばれる」へ。採用力が企業の存続を左右する時代、勝ち残る条件を探る。
「人に選ばれる企業」になるために
いま人材採用市場で、ある興味深い現象が起き始めています。
自社が求める人材に「選ばれる企業」と「選ばれない企業」の間の格差が、かつてないスピードで拡大しているのです。この現象は、一度確立されると加速度的に広がっていく傾向にあります。なぜなら、人材獲得における成功と失敗は単なる一時的な結果ではなく、組織の将来を決定づけるエコシステムを生み出すからです。
この循環の力を物語る興味深いデータがあります。人材市場調査会社の分析によると、「選ばれる企業」として認知された企業の採用成功率は、その後3年間で平均35%も上昇しています。これは、優秀な人材がさらなる優秀な人材を引きつけるという好循環が起きているためです。
一方で、採用に苦戦する企業では、同じ3年間で採用コストが平均42%も増加。人材の獲得がますます困難になるという負の連鎖に陥っているのです。
では、なぜこのような差が生まれるのでしょうか。最新の労働市場分析からは、3つの重要な要因が浮かび上がってきます。
1つ目は、情報の非対称性が急速に解消されていることです。
かつて企業の内部情報は、外部からは見えにくいものでした。しかし今、SNSやクチコミサイトを通じて、企業の実態は驚くほど透明性が高くなっています。求職者の89%が、応募前に現従業員の評価を確認するという事実は、この変化を如実に物語っています。この透明性は、人材育成に真摯に取り組む企業にとって、大きなアドバンテージとなっています。
例えば、従業員1人あたりの教育投資額が業界平均の1.5倍以上の企業では、応募者の質が継続的に向上していることが報告されています。さらに注目すべきは、これらの企業では入社後1年以内の離職率が業界平均の3分の1以下という点です。
つまり、人材育成への投資は、優秀な人材の獲得とその定着の両面でポジティブな影響を与えているのです。
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