「厳しい指導」→「パワハラ」とは限らない 上司が真に注意すべき“余計な一言”とは(1/3 ページ)
職場でのパワハラやセクハラを防止するために企業は何をすべきか――。日本ハラスメント協会代表理事の村嵜要さんに話を聞いた。
職場でのパワハラやセクハラを防止するためにどんなことをすべきか――。
会社員時代にパワハラを受けた経験があり、現在は日本ハラスメント協会代表理事として活躍する村嵜 要(むらさき・かなめ)さんに話を聞いた。
――職場でのパワハラやセクハラを防止するために、上司はどのような視点を持つべきでしょうか
パワハラやセクハラが起きる現場には一定の共通点があります。加害者に悪意があるケースは意外と少なく、むしろ「善意でやったこと」が誤解やトラブルの元になることが多いのです。例えば、優秀な上司が善意で部下に細かく指示を出した結果、それに応えられない部下に失望し、強い口調になってしまう。それがパワハラと受け取られることがあります。
特に問題になりやすいのは、上司と部下の間にある「期待のズレ」です。「報告が遅い」「そんなに急ぎとは思わなかった」など、報連相に対する感覚の違いがトラブルに発展するきっかけになります。
――厳しい指導とパワハラの境界線はどこにあるのでしょうか
指導そのものが厳しくても、それだけではパワハラにはなりません。重要なのは、その内容に「人格否定」や「能力否定」が含まれていないかどうかです。例えば、「君はどこに行っても通用しない」といった発言や、会社のルールとして明文化されていないやり方を一方的に強制するような行為は、パワハラとして判断されやすいポイントです。
つまり、業務上必要な範囲での注意や指導であれば、相手が不快に感じてもパワハラとはなりません。逆に言えば、余計な一言が命取りになることがあるということです。
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