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「電通」撤退で露呈した万博の“無策リスク” 海外パビリオン未払い問題(2/4 ページ)
今年4月に開幕した2025年大阪・関西万博の会期は、残り1カ月となった。無策のツケともいえる海外パビリオンの建設費未払い問題。起きた経緯やそれぞれの事情を多角的な視点で検証する。
異なる商慣習
海外パビリオンの建設費未払い問題で、トラブルが確認されたのは、およそ10館。そのうち未払い金の請求先として額が最も大きいのは、外資系イベント会社「GLイベンツ」の日本法人だ。
電通関係者は「GLイベンツは世界中でイベントを取り仕切った経験を持つが、商慣習が日本とは異なる。国内業者がGL側の考え方を認識しないまま契約したのだとすれば、未払い問題が起きたのは不思議ではない」と私見を述べる。
実際、GL側から海外パビリオンの建設を請け負った国内業者はほぼ中小で、国際間のビジネス経験はほとんどない。にもかかわらず、万博協会側が事前にアドバイスをしたり注意を促したりした形跡はなかった。
ある広告関係者は「電通社員はトラブルを想定し、未然に防ぐという思考で動く。彼らの撤退がなければ、未払い問題は防げたかもしれない」とした上で、こう加える。
「ただそうした『電通頼み』はもはや現実的ではない。過去のイベントで得た知識など、いわゆるナレッジを特定の民間企業でなく、行政間のネットワークなどで幅広く蓄積する局面にきているのではないか」
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