プレゼンの精度を高める 生成AIで「台本」を作るコツとは?(2/2 ページ)
プレゼンの内容は準備できたけど、どう話せば聞き手に響くのか分からない。資料は作ったものの、説明の仕方に自信が持てない……。そんなときは、ChatGPTにプレゼンの台本を作ってもらうとよいでしょう。
テンプレートのカスタマイズ方法
テンプレートをカスタマイズするときは「固定部分」に自社やチーム特有の必須要素を追加すると便利です。例えば「専門用語は嚙み砕いて説明してほしい」「ブランドメッセージを盛り込む」など、どのテーマでも守りたいルールをあらかじめ記載しておけば、安定したクオリティーの台本を得られます。
ケース1:新商品アイデアの社内提案
新商品のアイデアを複数の部署と共有し、迅速に合意を取り付けたいシーンです。開発と営業、それぞれの管理職レベルが納得するだけの情報量を盛り込みつつ、短時間でインパクトを与えたい場合に便利です。
【プロンプト例:新商品アイデアの社内提案】
# プレゼン資料(可変部分)
- 聴衆:開発部門と営業部門の管理職
- 新商品の特徴とターゲット
- 競合製品との比較データ
- 今後2年間の売り上げ予測と開発コスト
- 社内承認を得たい背景とスケジュール
- プレゼン時間:15分
なお、パワーポイントファイルを直接アップロードできるなら、同様の情報を簡単に書きつつ「ファイル内容を参照してほしい」と付け加えるだけでも構いません。
【回答例】
以下に、プレゼン資料のスライド構成に沿った「15分プレゼン用台本」をご用意しました。開発部門と営業部門の管理職向けに、説得力と明快さを重視した構成になっています。スライドごとに「話す順序」「強調ポイント」「専門用語の補足」「グラフや表の解説」などを含んでいます。
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スライド1:タイトルスライド(新商品プレゼンテーション)
話す内容:
本日はお時間をいただきありがとうございます。
これから、新商品のコンセプト、競合状況との比較、売り上げ予測、
そして開発スケジュールについてご説明いたします。
本提案は、社内承認を得ることを目的としております。どうぞよろしくお願いいたします。
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スライド2:新商品の特徴とターゲット
話す順序とポイント:
1.新商品のコンセプトをひと言で伝える。
2.開発に至った背景と市場ニーズを簡潔に説明。
3.どの層をターゲットにしているかを明示。
台本例:
今回ご紹介する新商品は、「業務効率を劇的に向上させる、クラウド連携型デバイス」です。
開発の背景には、リモートワークの定着と、業務のデジタルシフトがあります。
この製品は、ITツールに慣れていない中小企業の現場担当者をメインターゲットとしています。
「簡単に使えて、導入効果が明確」という点が大きな特徴です。
補足:
「クラウド連携型デバイス」とは、クラウド上の情報とリアルタイムで同期する機器のことで、設定や管理の手間を大幅に削減できます。
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スライド3:競合製品との比較データ
話す順序とポイント:
1.表または棒グラフを用いて視覚的に比較。
2.他社製品との機能差、価格差、導入効果を示す。
3.当社製品の優位点を具体的に強調。
台本例:
こちらのグラフをご覧ください。
競合3社と比較した場合、当社の新製品は「初期コストが20%低く」「設定時間が約半分」で済みます。
また、アンケート調査では「操作のしやすさ」でも高評価を得ています。
特に「導入までの時間が短い」という点が、営業現場での大きなアドバンテージになります。
グラフ解説:
横軸が製品名、縦軸が初期導入コストと設定時間の比較です。当社製品は、コスト面でもスピード面でもバランス良く優れています。
ChatGPTは「背景→新商品の概要→競合優位性→数字を使った説得→アクションプラン」のように章立てし、上記のような分かりやすいプレゼン台本を生成してくれます。
あとは、専門用語の説明・補足やブランドメッセージなど細部を修正するだけで、説得力ある社内提案が完成します。
ケース2:マーケティング施策の進捗報告
マーケティング施策で得られた成果を進捗報告したいときに便利です。例えば、広告効果やSNSキャンペーンのデータを他部署の上司へ定期的に伝える場面で、KPIのグラフや顧客アンケートの抜粋を短時間で整理して台本化できます。
【プロンプト例:マーケティング施策の進捗報告】
# プレゼン資料(可変部分)
- 聴衆:マーケティング部門の部長・関連部署担当者
- 実施した施策の概要(ターゲット・期間)
- KPI推移(CTR、CVRなど)のグラフ
- 顧客アンケート結果(抜粋)
- 次回施策の改善ポイント
- プレゼン時間:30分
上記の結果、KPIの変遷や顧客の声、今後の課題を「背景と目的→成果分析→アンケートから見えたこと→改善策→次のステップ」といった順序で自動的にまとめてくれます。タイトルや章立てが整えられるほか、要点をシンプルに描き出すフレーズが提案されるため、最終調整だけで完成度の高い進捗報告となります。
ケース3:新規プロジェクトのキックオフ説明
新たに立ち上げるプロジェクトの全体像を社内外メンバーに共有したい場合に便利です。目的や担当範囲、想定されるリスクなど多岐にわたる項目を、抜け漏れなく段取りよく説明するための台本作りに役立ちます。
【プロンプト例:新規プロジェクトのキックオフ説明】
# プレゼン資料(可変部分)
- 聴衆:社内外を含むプロジェクトメンバー全員
- プロジェクトの背景・ゴール
- 各メンバーの担当範囲
- 全体スケジュールと主要マイルストーン
- リスク要因と対策案
- プレゼン時間:45分
上記の結果、「背景→役割分担→スケジュール→リスク管理→まとめ」という流れで台本を生成してくれます。担当者名や具体的な期日、ロードマップのイメージを追加で伝えると、適切な補足説明や強調点が示され、キックオフで使いやすい台本が短時間で整います。
このように、AIを使えば手のかかるプレゼン準備もスムーズに進むでしょう。ぜひ活用してみてください。
筆者プロフィール:たてばやし淳
1986年生まれ、横浜育ち。オンライン動画でITスキルを教える人気講師。「多くの人に、仕事を自動化してラクにする方法を伝えたい」という想いから、Excelやマクロ、AI関連の書籍を執筆するなど発信活動を行う。YouTube総再生回数1300万回、チャンネル登録者数11万人超。また、オンライン動画教育プラットフォーム「Udemy」では22万人以上の受講者へ動画コースを展開している。
著書に『Excel×ChatGPTでビジネスが加速する! AI仕事術』(エクセル兄さん出版)、『学習と業務が加速する ChatGPTと学ぶExcel VBA&マクロ』(ソシム)、『Excel×Copilot AI仕事術』(日経BP)、『エクセル兄さんが教える世界一わかりやすいMOS教室』(PHP研究所)などがある。
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