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不祥事相次ぐシャトレーゼ、過度な低コスト路線も一因? 近年の「一人勝ち」をあらためて振り返る(3/4 ページ)
直近でいくつもの不祥事が発覚しているシャトレーゼ。とはいえ近年はスイーツ業界の中でも一人勝ちと呼べる状況が続いていた。あらためて同社の強みを分析する。
価格だけではないシャトレーゼの強みとは?
とはいえ、成長著しいシャトレーゼは高価格帯路線ではない。むしろ低価格を実現し、消費者をひきつけてきた。
同社が提供するケーキの多くは300〜500円程度であり、競合である不二家やコージーコーナーよりも低価格である。消費者からも「財布にやさしい」など価格面を評価する意見が多い。量販店やコンビニと同じ価格帯ながらも、専門店らしい品質のケーキを提供しており、コストパフォーマンスの高いスイーツ店と捉えられているようだ。
シャトレーゼは全国に14工場を構え、各店舗への配送網を整備している。また、工場近辺の契約農家から食材を仕入れて製造する体制を築き上げた。一部の仕入れや店舗への配送で問屋を介さないシステムを確立し、低コスト化を実現したのが大きな強みだ。しかし、過度に低コスト化を求める姿勢が冒頭で取り上げた法律違反をもたらしたことも否めないだろう。
シャトレーゼの好調には「立地」も関係している。個人店や不二家など街の洋菓子店の多くは、駅前や商店街に出店している。駐車場がない店舗も多い。このような立地はコンビニやスーパーも多い場所でもあり、競合の脅威にさらされやすい。
対するシャトレーゼは全国のロードサイドが中心であり、駐車場を併設している店舗が多い。ロードサイドは賃料が安い上に、「目的買い」の客が中心だ。駅前の、いわゆる衝動買い客は競合に流れる可能性もあるが、車でシャトレーゼに来る客は最初から「シャトレーゼに行きたい」と思いながら来店している。
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