「流れてくる猫」を笑わせろ くら寿司、マンネリ化脱却図る
くら寿司は、回転レーンを活用した新サービス「スマイルチャレンジ」を一部店舗で開始する。泣き顔の猫に笑顔を見せると、AIが判定し、特典を獲得できる仕掛けだ。
回転すしチェーンのくら寿司は9月22日から、回転レーンを活用した新サービス「スマイルチャレンジ」を東京都、神奈川県、大阪府の一部店舗に導入する。泣き顔の猫が映るモニターに利用客が笑顔を見せると、AIがその笑顔を判定し、特典を獲得できるチャンスを得られる仕掛けだ。
回転レーン上を流れるモニターには、「にゃーん」という鳴き声とともに泣き顔の猫が表示される。利用客がその画面に笑顔を向けると、AIが判定し、結果に応じて猫の表情が「中笑顔」または「大笑顔」に変化する。すしレーンを流れていく猫が、目の前を通り過ぎていってしまう間に挑戦するドキドキ感も特徴だという。
猫を「大笑顔」にできたら同社のガチャポン型ゲーム「ビッくらポン!」に挑戦でき、卓上のモニターでゲームが始まる。通常のビッくらポン!は食べた皿の数に応じて参加できるが、スマイルチャレンジでは猫を笑顔にできさえすれば誰でも参加できる。今後は、利用客の反響を見ながら他の特典も検討していくという。
くら寿司の取締役広報宣伝・IR本部長の岡本浩之氏は、導入背景について「お客さまにお店まで足を運んでいただくには、記憶に残る楽しさが大切と考えている。回転すしは誕生から50年以上たち、当たり前の存在になってしまった。レーンの楽しさを刷新していく」と説明した。
主なターゲットは13〜29歳のZ世代。同社によると、食費に占める外食比率が高く、モノやサービス自体よりも共感や感情を得られる体験に価値を置く「エモ消費」の傾向が強いことに着目したという。
先行導入した2店舗では利用客の55%がスマイルチャレンジに反応し、1組当たり平均5.2回挑戦した。岡本氏は「50代くらいの夫婦や1人で来店した年配の男性など、さまざまな層の利用があった」と手応えを語った。
2024年から一部店舗で実施している「プレゼントシステム」もリニューアルする。お祝いやサプライズ向けの特別メニューで、光る装飾やポップな音楽とともにケーキなどの商品をレーンで提供する。これまでは800〜1000円の価格帯だったが、メニューを刷新して一律300円に改定する。
岡本氏は「今後はさらなる価値向上に向けて、エモーショナルな要素を取り入れたサービスを提供したい」と意気込む。
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