ベテランは距離を置き、若手は黙って去る――「職場断絶」のリアルと、その処方箋(2/2 ページ)
今回は、組織内の分断について考える。世代間コミュニケーションの分断が静かに進行する中、分断を「問題」や「悪」と決めつけるのではなく、まずはその“正体”を理解することが重要だ。
「違い」を生かすコミュニケーション術――分断を和らげる4つのステップ
このように、3つのタイプを見てみると、互いの前提が大きく異なることに気付きます。昔はほぼ同じ価値観の人たちで職場が構成されていたので、これだけ価値観の違いが大きくなると、「分断」に向かいやすいのも当然かと思えます。
私たちはこれらの「分断」にどのように向き合っていけばよいのでしょうか。まず、次の4つのスタンスが大切です。
(1)「間違っている」「悪い」と決めつけない
世代間の価値観の違いに直面したとき、反射的に相手の考え方を「間違っている」「悪い」と決めつけてしまうことは、分断をさらに深めるだけです。育ってきた社会環境や時代背景が異なれば、当然価値観も異なります。「違い」を単に良し悪しで判断するのではなく、多様性としていったん受け入れる寛容さが必要です。
(2)相手を理解しようとする
他の世代からどう見えようとも、それぞれの世代の価値観はそれが形成されるに至る、充分に合理的な背景があります。まずはそれをしっかりと理解することが必要です。
(3)ランクフリーな関係をともに目指す
異なる価値観の相互理解を目指す時、どうしても上の世代の声が強くなりがちです。しかし、価値観についての対話はフラットな関係性の中で行なわなければなりません。役職の上下はあっても、人間関係はランク(上下関係)から解放されたフラットな関係を構築する必要があるのです
(4)小さなアクションで少しずつ距離を近付ける
相互理解の進展はある日突然、劇的に成就するわけではありません。日々の小さなアクションの積み重ねが徐々に距離を縮めていきます。重要なのは継続性であり、日常的な関わりの中で少しずつ理解を深めていくことが近道なのです。
次回は、3つのタイプをより詳しく見ていき、それぞれのタイプを生かすコミュニケーションのあり方について考えていきます。
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