マクドナルドと吉野家、「おまけ商法」でなぜ差が付いた? 転売ヤー対策に見る両社の違い(1/4 ページ)
マクドナルドのハッピーセットで、ポケモンカードに多くの転売ヤーが群がり騒動を呼んだ。一方、同時期には同じく吉野家の「おまけ」商法が称賛を浴びていた。両社の違いはなぜ生まれたのか。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
マクドナルドに転売ヤーが殺到した件は記憶に新しい。8月にハッピーセットのおまけとして「ポケモンカード」を付け、転売目的で購入する人たちが殺到した。店舗に行列ができて子ども連れが購入できなくなっただけでなく、食べ物が放置されることもあった。
購入制限も不十分だった。1日で完売したため商業的には成功だったかもしれないが、SNSでは批判の矛先がマクドナルドに向き、ブランドイメージの低下をもたらした。一方で吉野家のように時間差での提供が効果を発揮しているケースや、Nintendo Switch2の抽選販売で、50時間以上プレイしているなどを条件とした任天堂のような事例もある(詳細はのほど紹介)。
転売ヤーが群がり、1日で販売終了
日本マクドナルドは8月9〜11日の3日間、ハッピーセットの購入者にポケモンカードを配るキャンペーンを実施した。カードはオリジナルイラストのピカチュウ1枚と、全5種の中からランダムで1枚の計2枚だ。全6種類のカードにはマクドナルドのロゴが印字してある。これに転売ヤーが殺到し、販売は1日で終了した。
ハッピーセットの価格は510円〜。転売ヤーから見ればカード1枚当たり最低255円の“仕入れ値”だ。メルカリでは同カード100枚セットで18万5000円、6種類セットで6000円などの設定で販売され、1枚当たり1000円以上で売れる事態が発生した。転売ヤーはカードが目当てなので、注文した食べ物が店に放置される事態も発生した。
マクドナルドは5セットまでの購入制限をかけていたが、転売ヤーは「並び直す」「多店舗を回る」などの方法で制限をかいくぐった。モバイルオーダーの制限を実施しなかったこともあり、対応店舗では注文が殺到。その後、マクドナルドは制限を3セットまでとした。
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