能登半島地震、復興のカギは「食」にあり? フレンチ風ラーメンや空弁、開発の裏側:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/4 ページ)
能登半島地震から1年半。被災地の報道は減少傾向にあるものの、その中でも「食」を通じた復興支援は着実に進んでいる。
フレンチのシェフとコラボした一風堂
一方、一風堂は輪島のミシュラン1つ星レストラン「ラトリエ・ドゥ・ノト」の池端シェフとコラボし、「七面鳥ラーメン」を開発した。ニューヨークの店舗での提供を足掛かりに、海外展開も視野に入れている。
両者の出会いのきっかけは、能登での炊き出しだ。池端シェフは輪島市出身で、大阪の名店で修業後に渡仏し、ミシュラン星付きレストランで研さんを積んだ。帰国後の2016年に故郷・能登の食材の素晴らしさを再認識し、輪島市内にフレンチレストランをオープン。能登半島地震で全壊するという苦境に直面しながらも、炊き出しに参加し、一風堂と出会った。炊き出しで振る舞った「七面鳥ラーメン」が原点となり、試行錯誤を経て現在の完成形へとブラッシュアップされてきた。
このコラボで生まれたラーメンは、2月に渋谷区広尾の和食レストランで初めて提供された。そのお披露目会では、能登の食材を使った前菜や一品料理に続き、メインとして七面鳥ラーメンが提供された。
ラーメンに使用されている七面鳥は、日本に3軒しかない生産者である輪島市の大村正博氏が飼育したものだ。地元の米を飼料に用い、しっとりとした肉質に仕上げている。スープは七面鳥100%で、かえしには能登産のしいたけや昆布、帆立を使用。仕上げに背脂や七面鳥オイルを加え、麺は中細ストレート麺を合わせた。さらに、七面鳥肉の餡を包んだワンタンやスモーキーな肩ロースをトッピングしている。
また、オゼイユやディルなどのフレンチでよく使われるハーブを、アクセントとして取り入れているのも特徴だ。
欧米では、七面鳥はクリスマスや感謝祭など、特別な日のごちそうとして振る舞われる。ニューヨークの一風堂でこのラーメンが提供されれば、間違いなく大きな話題を呼ぶだろう。
「さまざまな調理法で七面鳥を提供してきたが、『七面鳥のパサパサしたイメージが変わった』と欧米の方々にも言っていただけた。完成度の高いラーメンにできたと自信を持っている」と池端シェフは胸を張る。
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