インタビュー
Jリーグが仕掛ける“行きたくなる体験” スタジアムに人が集まる秘密(5/8 ページ)
Jリーグは、スタジアムに“行きたくなる体験”を生み出す戦略で観客動員を拡大している。新スタジアムや注力試合、招待施策など、多角的な施策で満員スタジアムを実現する秘密に迫る。
大規模な招待施策で新規層を取り込み
注力試合と連携して実施しているのが、リーグ主導の大規模な招待施策だ。無料での招待だが、単なるバラマキではない。JリーグIDの登録を必須とし、クラブの顧客資産として残るデータを取得している。
招待は売り上げの向上にもつながっており、入場者数と入場料収入は比例して増加。再来場率は、1年以内で20〜30%、2年以内まで広げると30〜40%に達する。キリンホールディングスや野村総合研究所などでマーケティングに従事してきた鈴木氏は「他業界なら数%で合格点とされるリピート率を大きく上回っている」と評価する。
また、新規層がスタジアムに来るきっかけづくりとして、外部の有力なIPホルダーとのコラボレーションも強化している。2024年は「ちいかわ」、2025年は「サンリオ」とのコラボを実施。来場を後押しする効果を生んでいる。
それぞれの施策は、単独で効果を発揮するのではなく、複層的に絡み合うことで成果を生み出している。露出増加により関心が向上し、注力試合の設定で満員体験を提供。招待施策とIPコラボで新規層の心理的ハードルを下げ、リピート率の高さが持続的成長につながる循環を生み出した。
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