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Jリーグが仕掛ける“行きたくなる体験” スタジアムに人が集まる秘密(4/8 ページ)

Jリーグは、スタジアムに“行きたくなる体験”を生み出す戦略で観客動員を拡大している。新スタジアムや注力試合、招待施策など、多角的な施策で満員スタジアムを実現する秘密に迫る。

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ローカル露出向上で地域密着を強化

 露出戦略の具体的な取り組みとして、日本サッカー協会とJリーグが連携し、2023年4月からサッカー番組「KICK OFF!」の放送がスタート。2024年4月には、32地域・47都道府県に放送地域を拡大した。

 「露出の増加がすぐに来場に結びつくわけではないが、続けることで各地域で地元クラブの存在感が高まった」と鈴木氏は手応えを語る。実際に、全60クラブのうち、46クラブでリーグ戦の1試合平均入場者数が2023年を上回り、うち16クラブが史上最多を記録した。

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リーグ戦 1試合平均入場者数 史上最多更新クラブ

 さらに「注力試合」を定め、年間の試合の中でも特に集中して集客に取り組む施策も始めた。従来のJリーグではこうした発想が乏しかったため、各クラブに通常より多い入場者数を目標とする試合の設定を依頼した。

 夏休みやゴールデンウィークを中心に、花火大会やスタジアムグルメのイベント、アーティストの来場など、サッカー以外の魅力も含めて訴求し、リーグ側も費用を一部負担した上で、ローカルメディアと連携した情報発信もしている。

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国立競技場での試合をブランド化する取り組みも

 また、首都圏では国立競技場で開催される試合を特別ブランド化した「THE国立DAY」を実施。2024年はリーグ戦13試合を開催し、合計65万4165人を動員した。これはリーグ戦総入場者数の5%を占める規模だ。鈴木氏は「国立競技場は世界的に見てもアクセスの利便性が高い。初観戦のきっかけとして絶好の場」と位置付ける。

 注力試合を設定し、集客にこだわることで満員のスタジアムを体感してもらい、初めて来た人やライト層が「もう1回行きたい」「誰かを誘って行きたい」という次の行動につなげてもらうことが狙いだ。

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