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ファミマが取り扱い終了を発表した「QUOカード」 もともと“セブン専用”だった意外な歴史を振り返る(1/3 ページ)

ファミリーマートが取り扱いの終了を発表したQUOカード。もともとはセブン専用のカードとして登場した歴史があることを知る人は少ない。歴史と現状を解説する。

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著者プロフィール

山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_


 ファミリーマートが11月23日をもってQUOカードの取り扱いを終了し、12月23日以降、店舗で利用できなくなると発表した。取り扱いを止める理由は店舗での負荷低減と手数料削減としている。電子マネーが普及している近年、利用頻度の多くないQUOカードの取り扱いを継続する効果は小さいと判断したのだろう。

 QUOカードを含めプリペイド型の磁気カードは、若年層の間でなじみが薄いといえる。そもそも、QUOカードは誰が発行し、誰が購入しているのか。そして、どういう場面で使われているのか。QUOカードの歴史と現在地を探る。なお、以下は「クオカード=発行会社」「QUOカード=カード自体」として表現を使い分ける。


QUOカードの現在地を探る出所:写真AC

もともとは「セブン専用」だった

 QUOカードを発行するクオカードは1987年に日本カードセンターとして誕生した。2年後の1989年に導入される消費税を見据え、小銭のやりとりを簡素化したいニーズに対応する狙いがあった。

 設立の2年後にはセブン-イレブン・ジャパンと契約し、プリペイドカード「セブン-イレブンカード」の発行を開始。1995年にセブン以外のコンビニでも使えるカードとして「QUOカード」に改称した。

 現在、QUOカードはコンビニやENEOS、書店などで購入可能だ。セブンの場合、3000円券の販売価格は額面通りだが、1000円券のそれは1040円となっており、低額購入だと損をする。より少額のものでは、ローソンが500円券を530円で売っている。

 小銭にまつわる当初の目的とは裏腹に、QUOカードは個人ではなく法人向けに普及していった。2019年に同社が取材を受けた記事によると、当時カード購入者の8割は法人だったという。福利厚生や、消費者への販促に用いることもあるという。例えば住宅展示場での来場特典やWebアンケートの謝礼、株主優待などさまざまだ。現金だと生々しいが、お菓子などの「モノ」だとかさばってしまう。2つの欠点を解決する贈呈品としてQUOカードが支持されたのだろう。

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