ファミマが取り扱い終了を発表した「QUOカード」 もともと“セブン専用”だった意外な歴史を振り返る(2/3 ページ)
ファミリーマートが取り扱いの終了を発表したQUOカード。もともとはセブン専用のカードとして登場した歴史があることを知る人は少ない。歴史と現状を解説する。
クオカード側はどうやってもうけている?
日本カードセンターは2003年に社名をクオカードに変更し、2004年にはSIerのCSK(現SCSK)の子会社となった。2017年には携帯電話販売代理店のティーガイアがクオカードを子会社化している。累計発行枚数は2010年に5億枚を突破した後、2021年に10億枚を超えた。
消費者が小売店にQUOカードで支払った際、発行元のクオカードは消費者に代わり、小売店に代金を支払う。クレジットカード会社と同じく一定の手数料を引いて支払うため、手数料分がクオカードの収入となる。
このほか「退蔵益」も重要な収入源である。退蔵益とはQUOカードのような前払式の券が失効、または消費者が利用しなかったことにより、発行者側に生じる利益のことだ。クオカードが100万円分のQUOカードを発行・販売し、そのカードを誰も使わなかった場合、100万円がクオカードの収入になる。QUOカードに使用期限はないが、一定期間使われなかったものは退蔵益として計上されるという。
ティーガイアの決算資料を見ると、2022年3月期から2024年3月期までの間、40億円超のカード退蔵益を計上している。全社経常利益の4割近くを占めるドル箱事業だ。
2019年に「デジタル版」が登場
巨額の退蔵金が生まれている背景には、使いにくさもあると筆者は考えている。QUOカードが使えるのはコンビニ各社のほか、ドラッグストア、書店などが中心だ。ドラッグストアで使えるのも一部のチェーンに限られ、マツモトキヨシは使える一方で同グループのココカラファインは使えない。ウエルシア、ツルハも非対応だ。
また、公式Webサイトによると飲食店で対応しているのは「デニーズ」のみ。ガストなどすかいらーく系もかつては使えたが、2018年に利用終了となった。カフェでは上島珈琲店など3ブランドが対応しているものの、スターバックスやドトールは非対応だ。業界全体で大手の対応率が高いのは書店くらいである。
クオカードは2019年にデジタル版の「QUOカードPay」をリリースした。アプリは不要で、メールやSMSを通じて相手に送る仕組みだ。支払時にURLを開くと使用できる。コンビニはファミリーマートを除いて多くのチェーンが対応し、ドラッグストアではウエルシア、ココカラファインでも使用可能だ。グルメ系も吉野家、スシロー、大戸屋が対応するなどQUOカードより使い勝手が良い。
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