ネイルサロン「1回1万円」は高いのか? ネイル歴10年以上の筆者が考えてみた:シリーズ「編集部の偏愛」(1/3 ページ)
ネイルが大好きな筆者は、「ネイルサロンって高いと思わないの?」とよく聞かれる。今回、日本のネイル産業について取材しつつ、質問について考えていきたい。
シリーズ「編集部の偏愛」:
ITmedia ビジネスオンライン編集部のメンバーが、「いま気になるもの・人・現象」をきっかけに、社会や経済の変化を掘り下げる企画である。個人の“偏愛”を軸にすることで、記事には書き手の視点や関心が自然ににじむ。日常の小さな関心が、経済の動きや兆しとどうつながるのかを、取材を通して丁寧に伝えていく。
いきなりで恐縮だが、筆者はネイルが大好きである。気軽に塗れるマニキュアから始め、今は毎月ネイルサロンに通っている。春は桜モチーフ、冬はクリスマスをイメージしたアート……と毎月飽きずにデザインや塗りたいカラーを考えている。気付けば人生の半分以上、ネイルをしてきた。
10年以上ネイルサロンに通う中で、最も聞かれるのが「ネイルサロンって高いと思わないの?」という質問だ。デザインの難易度によって異なるが、ネイルにかかる費用は平均1万円ほど。この質問に、筆者は「癒しでもあるから」「技術料だから」などと答えていたが、突き詰めて考えたことはなかった。今回、日本のネイル産業について取材しつつ、考えていきたい。
1万円を払ってもネイルサロンに通う理由
ネイルに詳しくない、またはネイルサロンに行ったことがない読者向けに、まず簡単にネイルの概要と、施術の流れを説明する(あくまで筆者の体験なので、店舗によって異なる)。筆者はジェルネイルと呼ばれる、合成樹脂などからなるジェルを爪に塗り、UVライトやLEDライトで硬化させるタイプのネイルをしている。
ネイルサロンに入ると手洗いや消毒などを済ませ、その時しているネイルを落とす作業(オフ)からスタートする。オフが完了したら、爪周りの甘皮をとったり、爪の形を整えたりするケアの段階に。その後、新しいアートを施術してもらい、最後にハンドクリームやオイルで軽くマッサージをしてもらって終了する。ネイルサロンに通うのは月1回で、施術時間は3時間ほどだ。
日本のネイリストの技術力は世界でもトップクラス
筆者がネイルサロンに通う理由の一つが、ネイリストの存在だ。ネイルに関する技能講習や資格認定などを行う日本ネイリスト協会は、ネイリストについて、
ネイルに関する技術、専門知識および鍛錬された高度な技能を身につけることとし、 公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター(JNEC)1級または2級を取得していること、 または同等の資格を持つプロフェッショナルであること。
ネイリストの使命は学術的知識から導き出された爪の健康を維持し手指を美しく保つための美容術を施すことを基本とし、 それに加えて理想的な爪を造形するネイルイクステンション(つけ爪) や指先を彩るネイルアートなどに必要とされる感性の表現者でもあること。(以下略)
と定義している。ネイリストには国家資格はなく、ネイリストを目指す人の多くはこうした検定を受ける。
こうした検定に合格したネイリストが、自分ではできない美しいネイルアートを施したり、ケアをしたりしてくれる。日本ネイリスト協会の理事である木下美穂里氏は「日本のネイリストの技術力は世界でもトップクラス」と太鼓判を押す。
筆者がネイリストの技術力の高さを感じるのは、デザインの持ち込みをした時だ。ネイルサロンでは、さまざまなデザイン見本を置いている店舗が多い。こうした見本からやりたいデザインを選ぶ他、SNSなどで好きなデザインを見つけて「今回のデザインはこういう感じにしてほしい」と依頼するケースもある。
見ただけでそのネイルがどのように作られているかを理解し、再現できるのは高い技術力があってこそ。筆者もたびたびデザインを持ち込むが、その再現度の高さにはいつも驚かされる。
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